Happiter
Happiter › 制度の解説 › 障害福祉の返戻とは|返戻になる2つの理由と再請求の流れ

障害福祉の返戻とは|返戻になる2つの理由と再請求の流れ

2026-10-27書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
返戻(へんれい)は、事業所が国保連(国民健康保険団体連合会)に出した障害福祉サービス等の請求が、審査を通らずに差し戻されることです。理由は大きく2つで、千葉市の説明会資料は返戻(エラー)を「各種台帳情報との不整合や報酬算定ルールに則していないもの」と説明しています。受給者番号や支給決定の内容が市町村の台帳と合わない、実績記録票と請求明細書が食い違う、利用者負担の上限額の扱いが合わない、といった請求です。返戻は「請求が通っていない」状態なので、原因を直して翌月以降にそのまま再請求でき、過誤申立は要りません。締め日と審査の流れ、自治体の資料に出てくる多い返戻の例、再請求の手順と請求前の確認の型を整理します。
出典: 千葉市障害福祉サービス課「請求審査について」(障害福祉サービス等に係る事業者説明会 資料1・令和8年3月19日。以下「千葉市の資料」)p.1〜2(https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/shogaifukushi/documents/3-1-1_3.pdf)、中野区健康福祉部障害福祉課「居宅系事業所の請求事務について(集団指導)」(令和4年2月15日 居宅系事業者連絡会 配付資料。以下「中野区の資料」)p.4(PDF p.5)(https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kurashi/denshishinsei/kenko-fukushi/syogaisya/kyotakukeijigyosya.files/1.pdf)

返戻・警告・過誤の違い

千葉市の資料によると、平成30年度以降、市町村等は請求の「一次審査」を国保連に委託しています。一次審査の結果は、次の言葉で分かれます。

言葉意味(資料の言い方)事業所がすること
正常受付審査・資格審査・支給量審査で問題ないと判定された請求なし
警告機械的に判断がつかないもの。市町村が二次審査で確かめる一次審査処理結果票を見て、市町村からの問い合わせに答える
返戻(エラー)各種台帳情報との不整合や報酬算定ルールに則していないもの原因を直して再請求する
過誤すでに通って支払が確定した請求を取り下げるもの市町村に過誤申立をし、決定のあとで再請求する

千葉市の資料は、返戻を「請求が通っていないもの」、過誤を「請求が通っている請求を取り下げるもの」と分けています。中野区の資料も、返戻は国保連に請求データが存在しないので翌月以降そのまま再請求でき、過誤は確定済みの請求データがあるので、区に過誤申立をして国保連から決定が下りたあとに再請求できる、と書いています。

警告のまま一次審査を通っても、市町村の二次審査で返戻になることがあります。千葉市では、市が返戻にした請求は「SA01…事業者の請求誤り」と表示され、一次審査処理結果票の警告の内容を確かめて再請求します。この場合も過誤申立書は要りません。札幌市の過誤申立のページも、請求が返戻となった対象者は過誤申立をせずに再請求できる、としています。

一方、過誤申立の期限は市町村ごとに違います。中野区の資料は「過誤処理をしたい月の前月の20日(必着)」、札幌市のページは通常の過誤が「過誤処理月の前月末日(必着)」です。

出典: 千葉市の資料 p.1〜2、中野区の資料 p.4(PDF p.5)、札幌市「障害福祉サービスの請求にかかる過誤申立について」(更新日 2026年9月9日)(https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/kago.html)

返戻になる2つの理由

千葉市の資料の定義を、2つに分けて見ます。

1. 台帳の情報と合わない

国保連の一次審査は、①受付審査(請求情報の中の整合性と、市町村台帳・事業所台帳との突き合わせ)、②資格審査(受給者台帳との突き合わせ)、③支給量審査の順に行われます。受付審査で返戻が出ると、その先の資格審査と支給量審査はしていないため、体制などの食い違いを直して出し直したら、次の資格審査で返戻になることもある、と千葉市は書いています。1か所直したら終わり、とは限りません。

2. 報酬算定のルールに合わない

③の支給量審査では、提供したサービスの量が決定された支給量を超えていないか、利用者負担の上限額が正しく管理されているかを確かめ、サービス提供実績記録票とも突き合わせます。さらに市町村の二次審査で、請求の誤りや算定要件を確かめられない請求が返戻になります。

出典: 千葉市の資料 p.1〜2

自治体の資料に出てくる多い返戻

返戻の例多い原因直し方出どころ
EG02(受給者台帳に、サービス提供時点で有効な認定情報が無い)受給者番号の入力誤り受給者証で番号を確かめる中野区
EG03(受給者台帳に、サービス提供時点で有効な支給決定情報が無い)市区の登録が請求の期間までに終わっていない・登録の誤り/契約情報に誤った決定サービスコードを入れた支給決定をした市区に登録を確かめてから再請求/受給者証の決定内容と契約情報を合わせる千葉市・中野区
PP19(実績記録票にあるサービスが請求明細書に無い)実績記録票と請求明細書の不一致請求の前に2つを突き合わせる千葉市
利用者負担額の誤り受給者証の内容と合わない(請求額に影響が無くても返戻)受給者証を毎月確かめる中野区
上限額管理の結果が明細書に反映されていない管理事業所の欄の未入力・結果額の転記ミス・総費用額の食い違い上限額管理結果票と明細書を突き合わせる中野区

中野区の資料は、令和4年2月の、居宅介護などの事業所向けのものです。コードと名前は資料の時点の表記で、千葉市の資料も、令和6年度にエラーコードの新規追加と「警告」から「エラー(返戻)」への移行があったと書いています。いまのコードは国保連の案内で確かめてください。

出典: 千葉市の資料 p.2・p.4、中野区の資料 p.1〜2(PDF p.2〜3)

締め日と審査の流れ(千葉市の例)

  1. 毎月10日: 事業所の請求の締め切り
  2. 11日: 国保連の一次審査(機械審査)
  3. 毎月おおむね20〜25日の午前中まで: 市の二次審査。一次審査の警告を確かめ、請求の誤りや算定要件を確かめられないものは、返戻にする旨を事業所へ電話で連絡

千葉市は、この時期に市から問い合わせをするので、留守番電話や転送の機能で連絡が取れるようにしてほしい、連絡が取れない場合でも、明らかな誤りや算定要件を確かめられない時は返戻になることがある、と書いています。中野区の資料(令和4年2月)では、区が10〜15日頃に受給者情報のエラー、20〜25日頃に請求明細書や実績記録票のエラーについて電話で確認しています。

出典: 千葉市の資料 p.2・p.4、中野区の資料 p.1(PDF p.2)

再請求の流れ

  1. 月初に「返戻等一覧表」を開く: 中野区の資料は、区から返戻を個別に知らせたり、再請求を促す連絡はしていない、返戻のあと再請求していないケースが見られる、と書いています
  2. 原因を分ける: 台帳の側(受給者番号・支給決定の登録)か、請求の中身(実績記録票・明細書・上限額)か。国保連による返戻は、区でも原因が分からない場合があります(中野区)
  3. 台帳の側なら市区町村に確かめる: 千葉市は、EG03 の時は支給決定をした区の担当に、登録が終わっているか(誤りが無いか)を確かめ、終わっていれば再請求を、としています
  4. 翌月以降の請求で出し直す: 返戻は過誤申立が要りません
  5. 入金の見込みを直す: 出し直した分は、その月の審査を通ってからの支払になります。報酬が入る時期と、開設直後の手元資金の数え方は放課後等デイサービスの開業資金の記事にまとめています

返戻は、直して出し直せば受け付けてもらえる差し戻しです。ただ、出し直さない限り、誰も催促してくれません。

出典: 中野区の資料 p.1・p.3〜4(PDF p.2・p.4〜5)、千葉市の資料 p.4

請求前の確認の型(私たちの例)

返戻の多くは、出す前の突き合わせで防げます。次は、上の自治体の例をもとにした Happiter株式会社 の整理で、国や自治体の様式ではありません。

確かめた人と日付を表に残しておくと、担当が休んだ月も、どこまで見たかが分かります。紙の控えを1人の机に置くより、事業所の共有の表にしておく方が、締め日の前に慌てずに済みます。

この記事は自治体の公表資料を読んで整理したものです。請求の締め日・審査の日程・再請求と過誤申立の扱いは、国保連と市町村で異なることがあります。所在地の市町村と国保連の案内で確認してください。
資料2点を、メールで受け取る(無料)
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
資料2点を、メールで受け取る(無料)
運営指導の、通知が来てからの段取り表と、確認される書類の一覧(7サービス)。
Happiter株式会社(代表 茂呂史生)からメールで届きます。制度改定と道具の新着のお知らせ(月2回まで)も届きます。止めたい時は、届いたメールに返信するだけです。
入力はメールアドレスだけ。このメール欄からお電話をすることはありません。名簿の管理とメールの送信には Google と Make の仕組みを使い、それ以外の第三者には渡しません。個人情報の取り扱い
この記事の答え、結局は職員が打つことになりませんか。
議事録も計画書も、最後は職員が打ちます。その職員が怖がらずに道具を使い始める入口の60分を、研修の第1回「ICTって何? 怖がらずに使える"道具"の話」そのまま・無料で。11月16日(月)10:00〜11:00・Zoom。顔出し・発言は任意、聞くだけでも大丈夫です。参加しても、研修の申し込みは義務ではありません。
11/16(月)の無料体験会に申し込む →
AI×ICT伴走研修(全20回)
全20回(各60分・1事業所単位・半年〜1年)の伴走研修を行っています。書類のデジタル化と共有の回は、第11回「デジタル書類化による業務効率と情報共有革新」です。20回のタイトルと料金は研修のページに。
20回のタイトルと料金を見る →
茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。請求の締め日と再請求の扱いは、国保連と所在地の市町村の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。