働き方改革推進支援助成金で勤怠管理|福祉事業所の使い方(令和8年度)
出典: 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」(以下「コースのページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html)、同「令和8年度 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」(2026.4。以下「ご案内」)PDF p.1〜2(https://www.mhlw.go.jp/content/001696150.pdf)、同「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用の手引き」(令和8年6月。以下「手引き」)PDF p.5〜6(https://www.mhlw.go.jp/content/001708798.pdf)
勤怠のソフトと打刻機は、どの取組に当たるか
ご案内は、助成の対象になる取組(改善事業)を7つ挙げています。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の整備
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
勤怠をデジタルにする費用は6に当たります。ご案内の活用事例には、始業・終業時刻を手書きで記録していて管理上のミスが多かった会社が、記録を台帳からICカードに切り替え、時刻を正確に管理できるようになった例が載っています。
一方、コースのページは「原則として、乗用自動車やパソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は対象となりません」としています。打刻のためにタブレットを買う、という形はこの原則に当たります。交付要綱は、法令等で義務づけられている措置に係る内容や、単なる経費削減を目的とした内容は改善事業にできない、とも定めています。
出典: ご案内 PDF p.1〜2、コースのページ「支給対象となる取組」、厚生労働省「働き方改革推進支援助成金交付要綱(労働時間短縮・年休促進支援コース)」(以下「交付要綱」)第4条第1項・第2項 PDF p.2(https://www.mhlw.go.jp/content/001689316.pdf)
成果目標は3つ。福祉の事業所が選びやすいのは年休の2つ
| 成果目標 | 中身 | 選べない例 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| ① 時間外・休日労働の上限設定 | 36協定の時間数を短くして、月60時間以下(または60時間超80時間以下)で届け出る | 令和8年4月1日以前の2年間に月45時間を超える時間外労働が無い/申請前に月60時間(または80時間)を超えて協定していない | 50万〜150万円 |
| ② 年次有給休暇の計画的付与の導入 | 計画的付与の労使協定を新たに結ぶ | すでに協定がある/年休が5日以下の人しかいない | 25万円 |
| ③ 時間単位の年休と特別休暇の導入 | 時間単位年休と、特別休暇を1種以上、新たに入れる | すでに時間単位年休の協定がある(例外あり)/その特別休暇がすでにある | 25万円 |
①は、時間外が月45時間を超える月があり、36協定でも月60時間を超えて協定している事業所向けの目標です。そうでなければ②か③が候補になります。②・③は、常時10人以上の事業場なら就業規則に規定を設けて労働基準監督署へ届け出ることも要件です。手引きの事例(製造業)は、時間単位年休が「子どもの送り迎えなど家族に向き合う時間が作りやすくなった」と好評だった、と紹介しています。
事業主の側の要件もあります。コースのページは、労災保険の適用事業主であること、全ての指定事業場で年休管理簿を作っていること、常時10人以上の指定事業場は年休の時季指定の定めがある就業規則を交付申請の前に届け出ていること、などを挙げています。交付要綱は、労使の話し合いの機会(労働時間等設定改善委員会の設置等)、苦情・意見・要望の担当者の配置、事業実施計画の職員への周知も求めています。
中小企業かどうかは、業種ごとに資本金か常時使用する労働者数で判断します。表の「医療、福祉」の行は病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の行(300人以下)です。障害福祉の事業所がどの行で判断されるかは、申請の前に労働局か働き方改革推進支援センターで確かめてください。
出典: 交付要綱 第4条第3項・第5条・第7条 PDF p.2〜5、コースのページ「支給対象となる事業主」、手引き 事例1 PDF p.7
いくら出るか:上限額と補助率
交付額は、選んだ成果目標の上限額の範囲で、かかった経費の合計に補助率を掛けた額です(1,000円未満は切り捨て)。補助率は4分の3。常時使用する労働者が30人以下で、ソフトウェア・機器等の導入・更新を行い、経費の合計が30万円を超える時は5分の4です。賃上げ(3%・5%・7%以上)や、時間外労働の割増賃金率の引上げを成果目標に加えると、上限額に加算があります。
計算の例(架空)です。常時使用する職員18人の法人が、勤怠管理ソフトの初期設定・ICカードの打刻機・職員向けの使い方研修で、経費の合計が36万円かかったとします。
- 成果目標③だけ: 36万円×5分の4=28万8千円。上限が25万円なので、助成は25万円
- ②と③の両方: 上限は合わせて50万円なので、28万8千円
経費に入るのは、交付決定の日から支給申請の日までに実際に支払った費用です。同じ年度に、同じ改善事業や成果目標で国や自治体から他の補助金を受けている場合は交付決定されません。都道府県のICT導入の補助と同じ物に重ねる計画なら、先に労働局へ確かめます。
出典: 交付要綱 第4条第4項・第6条・第7条・第8条・第9条・第11条第6項 PDF p.2〜3・p.5〜7・p.9、ご案内 PDF p.2
令和8年度の期限
| 手続き | 期限 | 出す所・決まり |
|---|---|---|
| 交付申請 | 令和8年11月30日(月)午後5時まで(予算の状況で予告なく早まる場合あり) | 事業主(本店)の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)。電子申請(Jグランツ)も可 |
| 交付決定 | 申請から原則1か月以内 | 交付決定の前に導入(購入等)した物は対象外 |
| 事業の実施 | 交付決定の日から令和9年1月31日(日)まで | 計画に沿って導入・協定・届出 |
| 支給申請 | 事業実施予定期間の終わった日から30日後の日か、令和9年2月5日(金)の早い方 | 雇用環境・均等部(室) |
2026年10月27日の時点で、交付申請の期限(11月30日)まで約1か月です。相談は、各都道府県の働き方改革推進支援センターでも受け付けています。
出典: ご案内 PDF p.1、交付要綱 第10条・第11条・第14条 PDF p.8〜10、手引き PDF p.5〜6
勤怠を紙からデジタルにする段取り
私たちが福祉の事業所で勧めている順番です。
- いまの流れを1枚に書く: シフト表→打刻→残業・年休の申請→月末の集計→給与。誰がどこで転記しているかに印を付けます。夜勤・送迎・兼務のある職員は、打刻の場所と時刻の決め方も書きます
- 成果目標を決め、職員と話す: ②・③なら、労使協定と就業規則の案を先に作ります。話し合いの場と相談の担当者もここで決めます
- 見積もりを取る: ソフト・打刻機・初期設定・研修を分けて書いてもらいます。交付要綱は、契約は一般の競争によるのが原則(難しい時は指名競争・随意契約も可)としているので、取り方は労働局に確かめます。この時点では契約も購入もしません
- 交付申請: 年休管理簿と、10人以上なら就業規則の届出がそろっているかを確かめてから出します
- 交付決定のあとに導入: 契約・支払い、協定の締結、就業規則の届出、職員への使い方の研修
- 1月31日までに終えて支給申請: 支払いの記録と、協定・就業規則の写しを1か所にまとめておきます
タイムカードの「ガチャン」は1回1秒ですが、月末にそれを表へ写す時間は、たいてい誰かの残業になっています。勤怠のデータは、人員基準の常勤換算のもとにもなります(常勤換算の計算方法)。職員のDX研修に使える助成金は、人材開発支援助成金の記事にまとめています。
出典: 交付要綱 第13条 PDF p.10、コースのページ「支給対象となる事業主」
この記事は厚生労働省の公表資料を読んで整理したものです。助成の対象になるか、いくらになるかは、管轄の労働局の審査で決まります。申請の前に、労働局か働き方改革推進支援センターで確認してください。
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。助成の対象になるか、いくらになるかは、管轄の労働局の審査で決まります。最新の内容は厚生労働省・労働局の案内でご確認ください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
