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障害福祉の事業所がDX研修に人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を使う時の条件と流れ(令和8年度)

2026-10-11書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
障害福祉の事業所が、職員に支援記録・個別支援計画・請求などの業務のデジタル化(DX)に関する研修を受けさせる時、厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の対象になりうる場合があります。主な条件は、実訓練時間が10時間以上のOFF-JTで、職務に直結する内容であること、受講者が雇用保険の被保険者で、対面やオンラインの同時双方向型なら実訓練時間の8割以上を受講すること。事業所が訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を労働局へ出し、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請をします。令和8年8月3日以降に出す計画では、DXの概念や汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの訓練は対象外です。このコースは「令和8年度末までの時限措置」とされています。受給できるかどうかは、労働局の審査で決まります。
出典: 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版(以下「詳細版」)表紙・p.2・p.10・p.13・p.17(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf)、「令和8年8月3日からの変更点について」LL080803開企01(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf)

事業展開等リスキリング支援コースとは(令和8年度)

事業主が雇用する労働者に、事業展開やDX化などに伴って必要になる専門的な知識・技能を身につけさせる訓練を、計画に沿って行った場合に、訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。人材開発支援助成金の中の1つのコースで、「令和4年~8年度の期間限定の助成金として創設」されました。

対象になる訓練は、次の3つのいずれかです。

  1. 事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練
  2. 企業内のデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練
  3. 企業内の人事・人材育成に関する計画に基づき、今後従事する予定の職務に必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練(中小企業は、計画について認定経営革新等支援機関の確認が必要)

記録・計画・請求の業務にデジタル技術を取り入れるための研修は、2つ目(DX化)の考え方に沿って計画を組むことが考えられます。当たるかどうかは審査で判断されます。

出典: 詳細版 表紙・p.13、厚生労働省 リーフレット「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」LL080408開企07(令和8年4月8日版)p.1(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687619.pdf)

助成の率と上限

項目中小企業中小企業以外
経費助成(受講料など)75%60%
賃金助成(1人1時間あたり)1,000円500円
経費助成の限度額(1人1訓練・10時間以上100時間未満)30万円20万円

研修会社に受講料を払う形(事業外訓練)の経費助成は、1人あたりの受講料等 × 助成対象者数 × 助成率で計算します。対象になる受講料は、あらかじめ受講案内などで定められているものに限られます。

出典: リーフレット p.1、詳細版 p.2・p.10・p.17・p.29・p.32・p.38・p.39、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(R8.8.3)0505 p.20(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731981.pdf)

社会福祉法人・NPO法人・一般社団法人は「常時雇用する労働者の数」で判定

中小企業かどうかは、主たる事業ごとに「資本金の額または出資の総額」か「企業全体で常時雇用する労働者の数」のどちらかで判断し、どちらかに当てはまれば中小企業です。医療・福祉はサービス業の区分で、資本金5,000万円以下、または常時雇用する労働者100人以下です。社会福祉法人・医療法人・一般社団法人など資本金を持たない法人は、労働者の数で判断します。判定は支給申請の時点の内容で行います。

出典: 詳細版 p.12

対象になる訓練の条件

10時間以上のOFF-JTで、時間の数え方に決まりがある

OFF-JTは、事業活動と区別して、業務の遂行の過程外で行う訓練です。計画した総訓練時間から、移動時間や助成の対象にならない内容の時間を除いた「実訓練時間」が10時間以上必要です。

出典: 詳細版 p.11・p.13・p.28・p.29

受け方: 対面か、オンラインでその場で質問できる形が基本

実施方法時間の要件受講の要件賃金助成
通学制・同時双方向型の通信訓練(オンラインで、その場で講師に質問できるもの)実訓練時間10時間以上実訓練時間の8割以上を受講あり
eラーニング・通信制標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上訓練期間中に修了なし

eラーニングは、受講管理のシステム(LMS)で進み具合を管理できることが条件で、特定の事業主向けに作られたものは対象外です。録画を見るだけの講座(eラーニング・通信制を除く)や、教材(教科書等)を使わない講習も対象外です。年次有給休暇を与えて受講させた訓練も対象外です。

出典: 詳細版 p.22・p.29

令和8年8月3日以降の計画: 「職務に直結」しない内容は対象外

令和8年8月3日以降に提出する計画では、DX・GX化に関する訓練であっても、次の目的のものは対象外になりました。

厚生労働省は、次のような例を示しています。

訓練の例(厚生労働省が示す理由)扱い
生成AIを活用して商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ、営業担当者向けの訓練(具体的な業務に直結し、そのまま活用できる)対象
生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練(特定の業務への具体的な適用を伴わない)対象外
DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練(共通知識の習得にとどまる)対象外

あわせて「訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか」も確認されます。例では、CO2排出量の算定手順を学ぶ訓練を、その業務を担当する人に受けさせるなら対象、人事や営業の担当者に受けさせるなら対象外とされています。障害福祉の事業所に当てはめると、生成AIの使い方一般ではなく、受講する職員が担当する支援記録・個別支援計画・請求などの書類の作り方に結びついた内容か、その書類を担当する職員を選んでいるかが、分かれ目になると読めます(判断は労働局)。

出典: 「令和8年8月3日からの変更点について」LL080803開企01、詳細版 p.28

通常の事業活動・機器の操作説明は対象外

次のような内容は、「通常の事業活動」などとして対象になりません。

一方で、自社の業務上の情報を訓練の題材として取り上げるだけで、業務改善の指導や成果物の作成につながらないものは対象外に当たりません(事業外訓練の場合に限る)。厚生労働省の例では、自社の財務諸表で財務分析の手法を学ぶ訓練は対象、分析結果から経営改善計画を作る場合は対象外です。研修の時間内に、自事業所の実際の個別支援計画や利用規程を作り上げる内容は、この「成果物の作成」「作業環境の構築」に当たりうるので、計画を立てる前に確かめておくと安全です。

出典: 詳細版 p.13・p.28

事業所側の条件

出典: 詳細版 p.10・p.17

申請の流れと期限

  1. 準備: 職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定と労働者への周知
  2. 計画届: 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、事業所の所在地を管轄する労働局へ。提出日は労働局に届いた日で、期限が土・日・休日の場合は翌開庁日が期限です。例として、訓練開始日が7月1日なら、提出期間は1月1日から6月1日までです
  3. 訓練の実施: 計画届のとおりに行います。日時・内容・場所などを変える時は、変更届を期限まで(変更前後の早い方の実施日の前日まで。受講者の追加は訓練開始日の前日まで)に出します
  4. 支払い: 支給申請までに、訓練経費の全額を事業所が支払います
  5. 支給申請: 訓練終了日(計画届の「訓練の実施期間」の最終日)の翌日から2か月以内(厳守)
  6. 審査: 確認する項目が多く、ほかの助成金より決定まで時間がかかるとされています。支給・不支給の決定は、不服申立ての対象になりません

計画届では、職業訓練実施計画届(様式第1-1号)、事業展開等実施計画(様式第1-3号)、対象労働者一覧(様式第3-1号)、事前確認書(様式第11号)に加えて、訓練カリキュラム・受講案内(実施目的、実施日時、訓練日ごとの内容と場所、実訓練時間数、受講料)、研修会社との契約書または受講案内と申込書の写し、研修会社から受け取った「訓練費用の負担軽減に係る説明資料」などを出します。支給申請では、OFF-JT実施状況報告書(様式第8-1号)、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)、研修会社が記入する支給申請承諾書(様式第12号)、研修会社から説明を受けた資料一式の写しなどが要ります。電子申請(雇用関係助成金ポータル)にはGビズIDが必要です。

出典: リーフレット p.2、詳細版 p.10・p.41・p.42・p.43・p.44・p.45・p.46、雇用関係助成金ポータル(https://www.esop.mhlw.go.jp/)

研修会社を選ぶ時に確かめること

出典: 詳細版 p.10・p.20・p.21・p.32・p.42・p.46、支給要領 0505 p.20

令和8年度の改正点と、令和9年度の見通し

出典: 詳細版 p.2・p.39・p.46、支給要領 1401・1402 p.38、「令和8年8月3日からの変更点について」LL080803開企01

問い合わせ先

制度の内容や、自分の事業所の研修が対象になりうるかは、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局(助成金の窓口)に相談できます。申請手続きを任せる場合は、社会保険労務士に依頼します。

出典: 厚生労働省「人材開発支援助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html)、各都道府県労働局の助成金申請窓口(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/toiawase2.html)、申請様式(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1_00011.html)
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茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。助成の対象になるか、いくらになるかは、管轄の労働局の審査で決まります。最新の内容は厚生労働省・労働局の案内でご確認ください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。