福祉施設の用途変更と200㎡|確認申請が要る時と物件の確かめ方
出典: 国土交通省住宅局建築指導課長「小規模建築物を対象とした医療・福祉施設、宿泊施設、集客施設等を所管する関係部局との連携について」(令和元年6月24日 国住指第661号)と別添2(消防庁予防課長通知 消防予第58号)(https://www.mlit.go.jp/common/001294996.pdf)、大阪市「既存建築物を福祉関係施設に用途変更する場合の確認申請について」(令和元年6月)(https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000208/208354/010625hukusisisetu.pdf)
障害福祉の事業所は、建築基準法でどの用途か
大阪市の資料は、保育所・老人ホーム・就労支援施設などの福祉関係施設を、建築基準法上の「児童福祉施設等」=特殊建築物としています。障害福祉の事業に当てはめると、資料と国の通知の別添1の例示は次のとおりです。
| 事業 | 大阪市の資料・国の通知の別添1での扱い |
|---|---|
| 生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援の施設 | 児童福祉施設等(障害福祉サービス事業の用に供する施設) |
| 障害者支援施設・地域活動支援センター・福祉ホーム | 児童福祉施設等 |
| 児童発達支援センター | 児童福祉施設 |
| 障害者グループホーム | 平面計画等により、児童福祉施設等・寄宿舎・住宅のいずれか(大阪市)。国の通知の別添1では「寄宿舎(グループホーム)」の欄 |
| 放課後等デイサービス・児童発達支援(センターでない事業所) | どちらの例示にも名前がない |
放課後等デイサービスと、センターでない児童発達支援の事業所をどの用途として扱うかは、この2つの資料からは読めません。建物の所在地で建築基準法を受け持つ役所(市役所の建築課など。国の通知の言葉では特定行政庁)に確かめてください。グループホームも、間取りで扱いが変わるので同じです。
出典: 大阪市の資料、国土交通省の通知 別添1
確認申請が要るのは、変える部分が200㎡を超える時
国の通知によると、法改正で建築確認の対象となる床面積の合計が「100平方メートルを超えるもの」から「200平方メートルを超えるもの」に改められました。特殊建築物へ用途を変える時は、法第87条第1項で第6条が準用されるため、その用途に使う部分が200㎡を超えると確認申請が要り、200㎡以下なら要りません。類似の用途どうしの変更は、この扱いから除かれています。
大阪市の資料から、手続きで押さえる所を抜き出すと次のとおりです。
- 数える面積: 福祉関係施設の用途に使う部分には、便所や浴室などの共用部、管理室、倉庫などのバックヤードも含みます
- 出す時期: 確認申請書は工事に着手する前に、市または民間の指定確認検査機関に出し、確認済証の交付を受けます
- 誰が作るか: 申請書の作成や手続きは、専門の知識を持った建築士などに相談して進めます
国土交通省の説明会資料(令和7年11月更新)の表では、用途を変えて「1号建築物」(法別表第一(い)欄の特殊建築物で、その用途の延床面積が200㎡超)にする時の手続きは、建築確認と工事完了届です。
物件の内見で「広くて使いやすそう」と話がはずんだ時ほど、図面で200㎡の線を確かめておく番です。
出典: 国土交通省の通知、大阪市の資料、国土交通省住宅局建築指導課「建築物の改修における建築基準法のポイント説明会」(令和7年11月更新)p.4(PDF p.6)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001911322.pdf)
200㎡以下でも、基準に合わせる
国の通知は、200㎡以下の用途変更で確認申請や消防同意が要らなくなっても、建築基準法令と消防法令を守ることは前から変わらない、と念を押しています。あわせて、事業者に建築と消防の窓口への事前の相談を勧めるよう求めています。国土交通省の説明会資料にも、手続きが要らないからといって、建築基準法に合わせなくてよいわけではない、と書かれています。
用途を変える時に合わせる主な規定として、大阪市の資料は次を挙げています(一定の基準を満たすと緩和される規定もあります)。
- 耐火性能の確保、防火上主要な間仕切壁を準耐火構造にして小屋裏または天井裏まで届かせる
- 排煙設備・非常用照明装置の設置
- 階段の寸法(幅・蹴上・踏面)、手すり、主な階段で回り階段にしない
- 階段・エレベーター・吹き抜けなどの竪穴部分の防火区画、廊下の幅
国土交通省の説明会資料は、建てた後の法令の改正で今の基準に合っていない建物(既存不適格)の用途を変える時に、防耐火・採光・換気・避難・内装・用途制限など、用途に応じた規定が改めて求められる、としています。大阪市の資料は、大規模な修繕などをする時は確認申請が要る場合がある、とも書いています。
また国の通知は、階数3以上で、その用途の部分が100㎡を超え200㎡以下の建物を、定期報告の対象に指定するよう求めています。空き家を福祉施設に変えて、この階数・面積の建物になった場合などは、3年程度を目途に、必要に応じて維持保全の報告を求めるよう書いています。
出典: 国土交通省の通知、大阪市の資料、国土交通省の説明会資料 p.4(PDF p.6)・p.26(PDF p.17)
指定申請と、建築・消防の確認の順番
指定権者が、建物の書類を指定の審査で見る例として、栃木県の留意事項があります。栃木県は、建築基準法・消防法などへの適合を審査で確かめるとして、次の書類を求めています。
| 建物 | 栃木県が求める書類 |
|---|---|
| 新築 | 検査済証の写し |
| 既存の建物で、用途変更が必要 | 用途変更の手続きが完了したことがわかる書類 |
| 既存の建物で、用途変更が不要 | 市役所の建築課などに相談した結果をまとめた相談結果記録書(任意様式)。相談日・担当課と担当者名・不要な理由(面積が200㎡以下のため等)を書く |
| 消防 | 防火対象物使用開始届の写し。スプリンクラー設備などを置いた時は消防用設備等設置届出書の写し(どちらも消防署の受付印があるもの) |
栃木県は、事業所が工事中の時や、関係法令の許可・協議が整っていない時は、原則として指定申請書を受理しないとしています。
ここまでの資料から、確かめる順番は次のようになります(私たちの整理です)。
- 候補の物件が出たら、図面と今の用途を持ち主に確かめ、福祉の用途に使う部分の面積(共用部・倉庫を含む)を出す
- 契約の前に、建築の窓口と消防署へ相談する。指定権者にも、建物について出す書類を確かめる
- 確認申請が要る時は、建築士に依頼し、工事に着手する前に確認済証を受ける
- 工事のあと、確認申請をした時は用途変更の工事完了届を出し、消防の届出も済ませる
- 建物の書類をそろえて、指定申請を出す
物件の契約金や内装の費用、開所までの資金の数え方は、放課後等デイサービスの開業資金の記事にまとめています。
出典: 栃木県「指定申請について 7 申請に係る留意事項」(https://www.pref.tochigi.lg.jp/e05/welfare/shougaisha/service/sitei/documents/20231221154601.pdf)、大阪市の資料、国土交通省の通知、国土交通省の説明会資料 p.4(PDF p.6)
この記事は国と自治体の公表資料を読んで整理したものです。建物の用途の扱い・確認申請の要否・指定申請で求める書類は、特定行政庁と指定権者で異なることがあります。建物の所在地の特定行政庁・指定確認検査機関・建築士と、所在地の指定権者に事前に確認してください。
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。確認申請の要否は、建物の所在地の特定行政庁・指定確認検査機関・建築士に事前に確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
