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障害福祉の記録は何年保存?国の基準5年と条例の確認

2026-10-27書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
障害福祉サービスの記録は、国の基準省令でサービスを提供した日から5年間保存すると決まっています。児童発達支援・放課後等デイサービスも同じ5年間です。ただし、条文で5年保存とされているのは「サービスの提供に関する記録」で、どの記録が入るかはサービスごとの条文に書いてあります。事業所が実際に従う基準は、所在地の指定権者(都道府県・指定都市・中核市など)が定めた条例です。起算点を国と違う形で定めた自治体の例もあるので、記録を捨てる前に条例を開いて確かめます。電子で保存する時の決まりと、クラウドの置き場の作り方もまとめます。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第42条第2項・第75条第2項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第54条第2項(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)

国の基準:5年保存の対象はサービスごとの条文で決まる

サービス条文5年保存の対象
居宅介護障害福祉サービスの基準 第42条第2項利用者に対する提供に関する諸記録
療養介護同 第75条第2項下の6つの記録
生活介護・就労継続支援B型・共同生活援助第75条を準用(第93条・第202条・第213条)下の6つの記録(計画の名前は生活介護計画などに読み替え)
児童発達支援児童の基準 第54条第2項下の6つの記録
放課後等デイサービス第54条を準用(児童の基準 第71条)下の6つの記録

第75条第2項と、児童の基準 第54条第2項が挙げる6つの記録は次のとおりです。

  1. 個別の支援の計画(生活介護計画・就労継続支援B型計画・共同生活援助計画・児童発達支援計画など)
  2. サービスの提供の記録
  3. 市町村への通知に係る記録
  4. 身体拘束等の記録
  5. 苦情の内容等の記録
  6. 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

第42条・第75条・第54条とも、第1項で従業者・設備・備品・会計に関する諸記録を整備することも求めていますが、こちらには年数が書いてありません。労働者名簿や賃金台帳などの労務の書類は、労働基準法 第109条にも保存の決まりがあるので、そちらも合わせて確かめます。

出典: 障害福祉サービスの基準 第42条・第75条・第93条・第202条・第213条、児童の基準 第54条・第71条、労働基準法 第109条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)

「提供した日から5年」の数え方

条文の起算点は「提供した日」です。契約が終わった日でも、年度の終わりでもなく、記録ごとに、そのサービスを提供した日から数えます。1日ずつ数えると間違えるので、年度でまとめて決めておくのが現実的です(私たちの例)。

年度ごとに箱やフォルダを分け、表に「令和13年度末まで保存」と書いておけば、捨てる時に日付を数え直す必要がありません。書庫の段ボールは、中身と年度を書いておかないと、5年後には誰も開けたがらない箱になります。

条例で確かめる所:年数・起算点・対象の記録

指定の基準は、国の基準省令をもとに、指定権者が条例で定めています。広島県のように、基準の条例と施行規則を一覧で載せている指定権者もあります。開くのは「記録の整備」の条です。

自治体の例条例の書き方
福岡市(条例 第43条第2項・居宅介護)国と同じ「当該指定居宅介護を提供した日から5年間保存」
岡山市(平成26年3月25日の通知・市独自の基準の留意事項)「その完結の日から少なくとも5年間保存」

岡山市の通知は、「完結の日」を、利用者との契約の終了日でもサービスを提供した日でもなく、書類ごとにその書類を使わなくなった日と説明しています。例として、自立支援給付の請求の根拠になるサービス提供の記録は、その記録に対する自立支援給付等を請求し、受領した日が完結の日になり、その翌日から5年間保存する、としています。国の数え方より起算点が後ろにずれるので、同じ記録でも残す期間が長くなります。平成26年の通知なので、今の条文は岡山市の例規集で確かめてください。

確かめる順番は次の3つです。

  1. 条例の名前を見つける: 所在地の指定権者のページで、指定障害福祉サービス(児童は指定通所支援)の基準の条例を探します
  2. 「記録の整備」の条を開く: 年数・起算点(提供した日か、完結の日か)・対象の記録を見ます
  3. 施行規則も見る: 対象の記録を規則で定めている所があります。岡山市の施行規則 第6条は、条例第43条第2項の「規則で定める記録」として、サービスの提供の記録や居宅介護計画などを挙げています

迷う記録は、捨てる前に指定権者へ確かめます。捨てた記録は、あとから作り直せません。

出典: 広島県「指定障害福祉サービス及び指定障害者支援施設等の基準条例,規則等について」(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/shidoukensa/syougaikizyunnzyourei.html)、福岡市指定障がい福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例 第43条(https://www.city.fukuoka.lg.jp/d1w_reiki/reiki_honbun/q003RG00001196.html)、岡山市「岡山市指定障害福祉サービスの事業等の人員,設備及び運営に関する基準等を定める条例等について」(平成26年3月25日 岡事指第1557号)p.6(https://www.city.okayama.jp/jigyosha/cmsfiles/contents/0000007/7953/000215410.pdf)、岡山市指定障害福祉サービスの事業等の人員,設備及び運営に関する基準等を定める条例施行規則 第6条(https://www.city.okayama.jp/jigyosha/cmsfiles/contents/0000007/7953/20120250606092438.pdf)

運営指導で見られる範囲とは別の話

保存の5年と、運営指導で見られる書類の範囲は、別の決まりです。国の運営指導マニュアル(令和8年6月)は、確認する文書を、原則として運営指導の前年度から直近の実績に係る書類としています。見られるのが前年度からでも、残す期間は5年のままです。見られる範囲と当日までの段取りは、運営指導は何年分?の記事にまとめています。

出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8(2026)年6月)p.16(PDF p.20)(https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf)

電子で保存する時の決まりと、クラウドの置き場

紙の記録をデジタルで残すこと自体は、基準省令が認めています。

個別支援計画の説明・同意・交付を電子に切り替える時の、承諾のもらい方と記録の残し方は、個別支援計画の同意を電子で取る記事にまとめています。

クラウドに置く時は、次の形にしておくと、5年の管理と秘密保持を一緒に回せます(私たちの例)。

  1. フォルダは「年度→記録の種類」: 「令和8年度(令和13年度末まで保存)」の下に、計画・提供の記録・苦情・事故などを分けます
  2. 見られる人を決める: 共有の範囲を職員全員にせず、役割で分けます
  3. 辞めた人のアカウントを止める: 退職の手続きの中に、共有フォルダの権限を外す1行を入れます
  4. 紙を捨てる前に確かめる: スキャンして紙を捨てる運用にするなら、電子の保存でよい範囲を、条例と指定権者の案内で先に確かめます
出典: 障害福祉サービスの基準 第36条(生活介護などは第93条などで準用)・第224条、児童の基準 第47条・第83条
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茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。保存期間は自治体の条例で独自に定めている場合があります。所在地の指定権者の条例を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。