令和8年6月以降の新規指定に適用される基本報酬の特例|B型・グループホーム・児発・放デイの率と対象外
出典: 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)p.19〜23(https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf)
新規指定の基本報酬の特例とは(令和8年度報酬改定・臨時応急的な見直し)
令和8年度の報酬改定は、処遇改善加算の拡充と「臨時応急的な見直し」の2本立てで、新規事業所に限った基本報酬の特例は後者の柱の1つです。
国は対象を「年間総費用額全体に占める割合が1%以上で、令和6年度の収支差率が5%以上あるサービスのうち、事業所の伸び率が過去3年間5%以上の伸びを続けているサービス」と説明しています。サービスの質を担保しつつ制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限り、令和9年度報酬改定までの間、一定程度引き下げた基本報酬を適用する、という位置づけです。告示改正で令和8年6月施行です。
出典: 同資料 p.19
サービス別の率(1000分の972〜988)と月の収入への影響の目安
| サービス | 特例の率 | 引き下げ幅 | 告示の根拠 |
|---|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 所定単位数の1000分の984(98.4%) | 1.6% | 令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号 注17(PDF p.56) |
| 共同生活援助(介護サービス包括型) | 1000分の972(97.2%) | 2.8% | 同告示 注10(PDF p.63) |
| 共同生活援助(日中サービス支援型) | 1000分の972(97.2%) | 2.8% | 同告示 注13(PDF p.64) |
| 児童発達支援 | 1000分の988(98.8%) | 1.2% | 令和8年こども家庭庁告示第5号 注12(PDF p.2) |
| 放課後等デイサービス | 1000分の982(98.2%) | 1.8% | 同告示 注11(PDF p.4) |
出典: 改定事項 p.20〜23/障害者総合支援法に基づく報酬告示の改正告示(https://www.mhlw.go.jp/content/001684450.pdf)/児童福祉法に基づく報酬告示の改正告示(こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/255d371a/20260402_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_15.pdf)
率は1〜3%ですが、人件費の割合が高い事業所では、基本報酬の数%がほぼそのまま利益の増減になります。基本報酬が月200万円なら、B型で月約3.2万円(年約38万円)、グループホームで月約5.6万円(年約67万円)、児童発達支援で月約2.4万円(年約29万円)、放課後等デイサービスで月約3.6万円(年約43万円)の差です(加算を除いた試算。区分・地域・定員・稼働率で変わります)。
引き下げの対象は「基本報酬(サービス費)」です。告示は「所定単位数に代えて」基本報酬の単位数に率をかける書き方で、各加算の単位数そのものは対象ではありません。一方、福祉・介護職員等処遇改善加算は「処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数」に加算率をかけて計算するため、基本報酬が下がった分だけ処遇改善加算の額もわずかに下がります。
出典: 改定事項 p.3(処遇改善加算の計算方法)/改正告示 注17・注10・注13
対象になる事業所・ならない事業所(指定日・合併・定員増・多機能型・A型からの転換)
分かれ目は、申請日ではなく「令和8年6月1日以降に指定が行われたか」です。Q&Aでは、いわゆる駆け込み申請に指定権者が特段配慮する必要はなく、通常の事前相談・審査スケジュールや標準処理期間に従って処理することが望ましい、とされています。
- 対象になる: 6月1日以降の新規指定。就労継続支援A型からB型への転換(新規指定を要するため)。多機能型として6月1日以降に新たに指定を取ったサービス(既存のサービスは従前どおり)
- 対象にならない: 既存事業所。共同生活援助の外部サービス利用型。従たる事業所の追加・単位の追加・定員の増加・住居の追加(グループホームのサテライト含む)。事業譲渡や吸収合併で指定手続の簡略化や実績の通算を行った場合。グループホームの類型変更(届出で足りるため)。共生型・基準該当。(旧)医療型児童発達支援から児童発達支援への事業変更。日中サービス支援型グループホームに併設する短期入所
多機能型から1つのサービスを分離して別の場所で運営する場合は、新設分割に当たるかで扱いが決まります。合併・分割・事業譲渡は「前後で事業所が実質的に継続して運営されると認める場合」に既存と同様の扱いです。該当するかどうかは、指定申請の際に指定権者に確認してください。
出典: 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和8年3月31日)問3・問5・問12〜18 p.1〜8(https://www.mhlw.go.jp/content/001683290.pdf)/Q&A VOL.2(令和8年7月13日)問1 p.1(https://www.mhlw.go.jp/content/001722503.pdf)/改定事項 p.19
従前の単価が適用される配慮措置(重度の方・離島中山間・公募・補助)
次の3つの配慮措置に当たる場合は、従前の単価です。
- 重度の方への配慮: 次の加算や基本報酬を1日でも算定した月は、その月は特例の対象外。B型・グループホームは医療連携体制加算(Ⅳ)、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算(グループホームはさらに重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)・医療的ケア対応支援加算)。児童発達支援・放課後等デイサービスは医療的ケア区分1〜3の基本報酬、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬、強度行動障害児支援加算、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算。利用者単位の加算はその利用者だけ、事業所の体制で算定する加算は事業所全体が対象外です
- 離島・中山間地域: 事業所の所在地が居宅介護等の特別地域加算の対象地域(離島振興対策実施地域、特別豪雪地帯、振興山村、過疎地域など)にある場合。主たる事業所の住所で判断します
- 自治体が客観的に必要であるとした事業所: 公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所。ただし、運営への補助(指定管理料を含む)や、サービスの質・人材確保のための補助は、地域のニーズを満たす趣旨とは限らないため、これだけでは対象外になりません
2と3は請求システムで自動判定できないため、指定権者(都道府県等)が指定時に該当の有無を確認し、事業者と市町村に伝達する手順です。開設予定地がどれに当たるかは、事前相談で指定権者に確認してください。
出典: Q&A VOL.1 問7〜11・問22〜25 p.3〜11/改定事項 p.20〜26/別紙1(障害児通所支援 https://www.mhlw.go.jp/content/001683292.pdf)・別紙3(障害福祉サービス https://www.mhlw.go.jp/content/001683295.pdf)
総量規制との関係
総量規制(障害福祉計画の見込量を超える場合などに、都道府県等が新規指定をしないことができる仕組み)と、この特例は別の制度です。総量規制のある地域で6月1日以降に指定を受けても、配慮措置に当たらなければ特例が適用されます。ただし、総量規制を行っているサービスで新規指定の際に公募を行い、その公募が「サービスが不足する地域に設置する趣旨」であれば対象外になる、とQ&Aは整理しています。公募の趣旨は自治体の文書で確かめてください。
出典: Q&A VOL.1 問24 p.10
いつまで続くか(令和9年度報酬改定まで)
特例は「あくまで令和9年報酬改定までの間のみ」の適用で、令和9年度改定に向けては改めて議論する、とされています。令和8年度の1年限りではなく、令和9年度改定までの時限措置です。特例で指定された事業所の令和9年度以降の扱いは、現時点では示されていません。
出典: Q&A VOL.1 問4・問6 p.2〜3
開設の収支計画にどう織り込むか(5つの手順)
- 指定日の見通しを立てる: 指定権者の標準処理期間と事前相談の所要を確認し、6月1日より前の指定が現実的でないなら、最初から特例ありで計画を組みます
- 基本報酬だけに率をかける: 加算の単位数には率をかけず、処遇改善加算の母数が下がる分だけ別に減らします。収益シミュレーターでは「令和8年6月以降の新規指定(特例単価)で計算する」のスイッチで、この掛け算を自動で入れられます
- 配慮措置に当たるか確かめる: 所在地(特別地域加算の対象地域か)、自治体の公募の有無と趣旨、受け入れる利用者像(重度の方への支援の加算を算定する見込みか)を、事前相談で指定権者に確認します
- 稼働率で感度を見る: 稼働率が5%動けば収入もおおむね5%動くので、1〜3%の特例より影響は大きくなります。特例を前提にしたうえで、利用者確保の計画を厚くします
- 令和9年度改定の再試算日を決める: 次の改定の情報が出る時期をカレンダーに入れ、改定事項が公表されたら収支を組み直します
B型を開設する方は、同じ令和8年6月施行で、基本報酬区分の基準額(平均工賃月額)が各3千円引き上げられた点も計画に反映してください。
出典: 改定事項 p.8(B型の基準額の見直し)/p.19〜23
関連: 開設後に見られる書類は運営指導で見られる書類を7サービスでくらべるに、B型の書類はB型の記事にまとめています。
この記事は国の資料を読んで整理したもので、個別の事業所の扱いは指定権者・自治体によって異なります。配慮措置の該当や合併・分割の扱いなど、判断が分かれる点は指定権者・自治体・専門家にご確認ください。
収益シミュレーター。「令和8年6月以降の新規指定(特例単価)で計算する」のスイッチを入れると、B型・グループホーム・児童発達支援・放課後等デイサービスの基本報酬に特例の率をかけた月の手残りが出ます。定員・稼働率・職員数・家賃を動かして、特例あり/なしの差をその場で見られます。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
