未実施減算4種(虐待防止・身体拘束・業務継続計画・情報公表): 何をしていないと減算になるか、率と期限、残すべき記録を7サービスでくらべる
未実施減算4種の減算率(7サービス比較表)
| サービス | 虐待防止措置未実施 | 身体拘束廃止未実施 | 業務継続計画未策定 | 情報公表未報告 |
|---|---|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 1% | 1% | 1% | 5% |
| 児童発達支援 | 1% | 1% | 1% | 5% |
| 就労継続支援B型 | 1% | 1% | 1% | 5% |
| 就労継続支援A型 | 1% | 1% | 1% | 5% |
| 就労移行支援 | 1% | 1% | 1% | 5% |
| 生活介護 | 1% | 1% | 1% | 5% |
| グループホーム(共同生活援助) | 1% | 10% | 3% | 10% |
率は「所定単位数」に対する割合です。所定単位数は各種加算をのせる前の基本報酬の単位数で(報酬算定構造表で減算より左に置かれている加算は含みます)、加算を含めた合計に率をかけるものではありません。複数の減算に当たる場合は、減算したあとの単位数にさらに次の率をかけます。生活介護や就労系を障害者支援施設が行う場合は、グループホームと同じ10%・3%・10%の側です。処遇改善加算は「加減算後の総報酬単位数」に加算率をかけるので、減算は処遇改善加算の額にも響きます。
出典: 厚生労働省 留意事項通知 新旧対照表(令和7年3月31日改正)p.29〜39(https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf)/こども家庭庁 留意事項通知 新旧対照表(令和6年)p.31〜37(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/253aba4f-3ce0-4aa1-a777-3d42440f1ca2/442611ad/20240401_policies_shougaijishien_shisaku_hoshukaitei_08.pdf)/厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」p.3(https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf)
虐待防止措置未実施減算: 委員会・研修・担当者の3つ
次の3つのどれか1つでも欠けると減算の対象です。
- 虐待防止委員会を1年に1回以上開き、結果を従業者に周知する
- 虐待防止の研修を1年に1回以上行う
- 委員会と研修を適切に実施するための担当者を置く
委員会は事業所単位でなく法人単位でもよく、身体拘束適正化検討委員会と一体で開いても差し支えないとされています。テレビ電話装置等での開催もできます。
減算の期間は「事実が生じた月の翌月から、改善が認められた月まで」で、利用者全員が対象です。事業所は速やかに改善計画を指定権者に出し、事実が生じた月から3か月後に改善状況を報告します。「事実が生じた」とは、運営基準を満たしていない状況が確認されたことを指します。新規指定の事業所は、担当者は指定と同時に置き、委員会と研修は指定後速やかに行うことが求められます。
出典: 厚労省 新旧対照表(前掲)p.37〜39/こども家庭庁 新旧対照表(前掲)p.33〜35/厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問84 p.36(https://www.mhlw.go.jp/content/001260473.pdf)
身体拘束廃止未実施減算: 「記録がない」ことが減算の理由になる
次の4つのどれかに当たると減算です。
- 身体拘束等の記録がない。記録するのは態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由で、切迫性・非代替性・一時性の3要件を組織として確認した手続きも書きます
- 身体拘束適正化検討委員会を1年に1回以上開いていない
- 適正化のための指針を整備していない
- 適正化の研修を1年に1回以上行っていない
通知は「身体拘束等が行われていた場合ではなく、記録が行われていない場合」が減算だと念を押しています。令和6年度改定の前は1日5単位の減算でしたが、通所系は所定単位数の1%、グループホームなど居住系は10%に変わりました。減算の期間と改善計画の流れは虐待防止と同じです。
出典: 厚労省 新旧対照表(前掲)p.33〜36/こども家庭庁 新旧対照表(前掲)p.31〜33/厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.12(https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf)
業務継続計画未策定減算: 経過措置は令和7年3月31日で終了
要件は2つです。感染症と非常災害の両方について業務継続計画(BCP)を策定していること、その計画に従って必要な措置を講じていること。どちらか一方の計画がない場合も対象です。周知・研修・訓練・定期的な見直しは運営基準の義務ですが、この減算の算定要件ではありません。
BCPの策定は令和3年4月から3年の経過措置を経て、令和6年4月に義務になりました。減算には「令和7年3月31日まで、感染症の指針と非常災害の具体的計画があれば減算しない」という経過措置がありましたが、終わっています。令和7年4月以降は、指針と非常災害計画だけでは減算の対象です。
適用は運営指導で見つかった時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼります。Q&Aの例では、令和6年10月の運営指導で未策定が分かった生活介護事業所(感染症の指針と非常災害に関する具体的計画も策定していなかった場合)は、令和6年4月分の報酬から減算の対象になります。
出典: 厚労省 新旧対照表(前掲)p.31〜33/こども家庭庁 新旧対照表(前掲)p.36〜37/Q&A VOL.1(前掲)問14・問15 p.6/厚生労働省・こども家庭庁「横断的事項について」(報酬改定検討チーム第43回・令和5年11月29日)p.5〜6(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001172447.pdf)
情報公表未報告減算: 年1回の報告と、毎年度の経営情報の報告
障害者総合支援法第76条の3(児童は児童福祉法第33条の18)に基づく情報公表の報告がされていない場合の減算です。事業者は、サービスの提供を始めるときと、毎年度、都道府県等が定める時点に、WAM NETの情報公表システムを通じて基本情報・運営情報を報告します。報告は年1回で、令和8年度分は5月1日に受付が始まっています。
減算の期間は、報告していない事実が生じた月の翌月から解消した月までで、利用者全員が対象です(厚生労働省の通知では、事実が生じた日が月の初日なら当月から。こども家庭庁の通知は「その翌月から」のみ)。Q&Aでは、必須項目の未報告が指定更新や運営指導等で確認され、都道府県等が報告するよう指導したにもかかわらず報告しない場合に適用するとし、災害など報告できないやむを得ない事情があれば対象外として差し支えないとしています。例として、8月に確認して令和6年4月以前から未報告と分かれば、令和6年4月分からの減算です。新規指定事業所の報告期限は都道府県等の実施要綱で決まり、その期限の翌月から減算の対象になります。指定更新のときには、都道府県等が報告の有無を確認します。
基本情報・運営情報は、新規指定以降に一度報告していれば、年1回の更新漏れだけでは減算の対象にならないとQ&A(問20)は答えています。変更があったときの更新は、制度の趣旨をふまえて適切に対応するよう求めています。
経営情報の報告期限: 初回は令和8年3月31日、以後は毎会計年度終了後3か月以内
経営情報(事業所の収益と費用、職員数・給与など)の報告は、令和7年8月29日に情報公表システムでの運用が始まりました。初回は令和6年度決算情報で、期限は令和8年3月31日でした。令和8年度以降は、毎会計年度終了後3か月以内に毎年報告します。
減算の扱いは基本情報・運営情報と違います。初回分を令和8年3月末までに報告せず、都道府県等の指導後も報告しない場合は、未報告の時点(令和8年4月1日)にさかのぼって減算の対象です。令和8年度以降の分は毎年度必要なので、未報告なら報告期限の翌月から減算の対象になります。要件は期限内に「報告」していることで、指定権者の差戻しや事務処理で承認が期限を越えても、不利益が生じないよう処理するとQ&Aは答えています。
出典: 厚労省 新旧対照表(前掲)p.29〜31/こども家庭庁 新旧対照表(前掲)p.35〜36/Q&A VOL.1(前掲)問19〜22 p.9〜11/厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度の施行について」(障障発0901第1号・令和7年9月1日最終改正)p.7・p.9(https://www.mhlw.go.jp/content/001685189.pdf)/厚生労働省 事務連絡「経営情報の報告に関するシステムの運用開始に係る対応等について」(令和7年9月1日)p.2〜3(https://www.mhlw.go.jp/content/001553068.pdf)/厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度に関するQ&A VOL.2」(令和8年8月3日)問1-3-1 p.2・問2-3-4 p.5(https://www.mhlw.go.jp/content/001732680.pdf)/WAM NET「令和8年度定期報告の開始について」(令和8年5月7日)(https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/shofukuinfopub/shofukumail/shofukusys_mail2605.html)
減算を避けるために残す記録(運営指導で見られる書類)
厚生労働省の運営指導マニュアル別添「確認項目及び確認文書」(令和8年6月8日)で、就労継続支援B型の欄に挙がっている書類です。7サービスぶんの書類の全体像は運営指導で見られる書類を7サービスでくらべるにまとめています。
| 減算 | 残す記録 | 回す頻度 |
|---|---|---|
| 虐待防止 | 委員会議事録/研修を実施したことが分かる書類/担当者を配置していることが分かる書類 | 委員会・研修とも1年に1回以上 |
| 身体拘束 | 身体拘束等に関する記録/委員会議事録/適正化のための指針/研修を実施したことが分かる書類/個別支援計画 | 委員会・研修とも1年に1回以上 |
| 業務継続計画 | 業務継続計画(感染症・非常災害)/周知記録/研修・訓練記録/見直し記録 | 計画に従った措置を続ける |
情報公表は、基本情報・運営情報の年度の報告と、経営情報の報告を、それぞれ期限内に報告(申請)済みかどうかで確認します。承認は自治体側の処理です。
出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」別添「確認項目及び確認文書」(令和8年6月8日)p.75〜77(https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf)
7サービスで違うところ、自治体で違うところ
- グループホームは身体拘束10%・業務継続計画3%・情報公表10%と、3つが重い側です
- 児童2サービスは根拠が児童福祉法で、通知もこども家庭庁のものですが、要件の組み立て(1年に1回以上の委員会・研修、記録、計画、報告)は成人側と同じです
- 情報公表の報告時期・新規指定の報告期限・確認のタイミングは、都道府県等の実施要綱や実情で決まります。改善計画の様式や提出先も指定権者ごとに違います
- 令和8年6月施行の臨時改定(処遇改善加算の拡充と臨時応急的な見直し)の資料と、同改定に伴う児童の留意事項通知の新旧対照表には、この4つの減算の率・要件の変更は見当たりませんでした
適用の判断は指定権者が行います。個別の扱いは指定権者・自治体・専門家にご確認ください。
出典: 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(前掲)/こども家庭庁 留意事項通知 新旧対照表(令和8年度改定)p.32〜38(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/65f8ab1f/20260528_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_28.pdf)
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
