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個別支援計画をAIで下書きする安全な手順(匿名化→下書き→要素チェック)

2026-10-21書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
個別支援計画の下書きに生成AIを使う時は、匿名化→下書き→要素チェックの順に進めます。氏名・生年月日・住所・受給者証番号・診断名・服薬・家族の状況は、外部のAIサービスに入れません。障害があることや病歴、医師による診療・調剤が行われたことは、個人情報保護法の要配慮個人情報に当たります。下書きができたら、基準省令が定める記載事項がそろっているか、内容が面接の記録と合っているかを人が確かめ、会議・説明・文書による同意を経て計画にします。
出典: 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)、個人情報の保護に関する法律施行令 第2条第1号・第3号(https://laws.e-gov.go.jp/law/415CO0000000507)

外部のAIに入れない情報

入れない情報主な理由下書きでの書き方
氏名・呼び名本人を特定できるA01
生年月日・年齢・学年ほかの情報と合わせて特定できる10代前半
住所・学校名・地名・事業所名ほかの情報と合わせて特定できる学校・自宅
受給者証番号本人を特定できる書かない
診断名・障害の種別・手帳の等級要配慮個人情報場面と行動で書く
服薬・通院・医療的ケアの内容要配慮個人情報書かない
家族の状況(病気・離婚・経済状況など)家族の秘密書かない

基準省令は、従業者が業務上知り得た利用者や家族の秘密を漏らしてはならない、と定めています。要配慮個人情報には、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)などの障害があることや、医師等による診療・調剤が行われたことが入ります。

診断名を入れなくても、「大きな音がすると耳をふさいで部屋を出る」のように、場面と行動で書けば下書きの材料になります。

出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第36条(生活介護などは第93条などで準用)(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第47条(放課後等デイサービスは第71条で準用)(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)、個人情報の保護に関する法律施行令 第2条

匿名化の手順(連番ID・年齢帯・役割名)

  1. 対応表は事業所の中に置く: 実名とIDの対応表(例: 本人=A01)は、鍵のかかる場所か、見られる人を絞ったフォルダに置き、AIには渡しません
  2. 人は役割名にする: 「母」「父」「担任」「相談支援専門員」「きょうだい」など
  3. 年齢は年齢帯にする: 「小学校高学年」「10代前半」など
  4. 固有名詞は一般名詞にする: 学校名・地名・病院名・事業所名は「学校」「病院」に
  5. 日付と珍しい出来事を丸める: 「6月12日」は「6月中旬」に。めったにない出来事は、組み合わせで本人がわかることがあります
  6. 入力の前に、もう1人が読む: 表の情報が残っていないか、2人目が確かめます
  7. 実名に戻すのは事業所の中で: 下書きを計画の様式に写す時に、対応表でIDを戻します

この置き換えは、個人情報保護法の「仮名加工情報」「匿名加工情報」(第2条第5項・第6項)を作る手続きとは別のものです。置き換えたから何を入れてもよい、ではありません。上の表の情報を入れないことと、組み合わせて使います。

個別支援計画に必須の要素(基準省令)

計画の原案に書くことは、障害福祉サービスは障害福祉サービスの基準 第58条(療養介護の条。生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条などで準用)、児童発達支援は児童の基準 第27条(放課後等デイサービスは第71条で準用)が定めています。AIの下書きは、この表と1行ずつ照らします。

下書きで確かめる要素根拠
本人と家族の生活に対する意向(児童は保護者と障害児の意向)第58条5項・第27条4項
総合的な支援の方針(児童は総合的な支援目標とその達成時期)第58条5項・第27条4項
生活全般の質を向上させるための課題第58条5項・第27条4項
サービスの目標とその達成時期第58条5項
支援の具体的内容(第26条第4項の領域との関連性、インクルージョンの観点)第27条4項
提供する上での留意事項第58条5項・第27条4項
ほかの保健医療・福祉サービスとの連携(児童は家族への援助も)第58条5項・第27条4項

連携は、原案に位置付けるよう「努めなければならない」とされる項目です。

アセスメントは利用者に面接して行います(児童は保護者と障害児に面接。第58条第4項・第27条第3項)。AIに渡せるのは、その面接の記録を匿名化したメモで、面接の代わりにはなりません。原案のあとは、会議(テレビ電話装置等も可)→説明→文書による同意→交付と進めます(第58条第6〜8項・第27条第5〜7項)。

作成後はモニタリング(実施状況の把握)を行い、少なくとも6か月に1回以上見直します(第58条第9項・第27条第8項)。モニタリングでは、特段の事情のない限り、定期的に面接し、定期的に結果を記録します(第58条第10項・第27条第9項)。就労移行支援(第184条)などは「三月」に読み替えます。

サービス別の期限と未作成減算の数え方は、個別支援計画の見直しの期限の記事にまとめています。

出典: 障害福祉サービスの基準 第58条・第93条・第184条・第202条、児童の基準 第26条・第27条・第71条

AIの下書きで起きる誤りと、人の確かめ方

基準省令は、意思決定に困難を抱える利用者について、意思と選好、判断能力等を丁寧に把握するよう求めています(第58条第3項)。AIが整えた言葉で、本人の言葉を置き換えないようにします。

確かめる人は、計画の作成を担当するサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者です(第58条第1項・第27条第1項)。要素の表で欄の抜けを見る→1文ずつ出どころを指す→意向は本人の言葉か→日付と期間、の順に見ると、抜けと作り話を分けて拾えます。

出典: 障害福祉サービスの基準 第58条、児童の基準 第27条

個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)の要旨

事業所(個人情報取扱事業者)向けの注意点は2つです。

一般の利用者向けには、入力した個人情報が機械学習に利用され、正確または不正確な内容で出力されるリスクがあること、応答結果に不正確な内容が含まれることがあること、利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認することが挙げられています。

事業所では、使うAIサービスの規約と設定(入力が学習に使われるか)を管理者が確かめ、入れない情報の表と匿名化の手順を、使う職員全員で共有してから始めます。

出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)、同 別添1「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf)
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茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。個人情報の取扱いの判断は事業所が行います。使うAIサービスの利用規約・プライバシーポリシーと、指定権者の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。