医療的ケア児支援法の改正|令和9年4月から何が変わる
出典: 厚生労働省・こども家庭庁「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の改正を踏まえた基本指針の改正等について」(社会保障審議会障害者部会 第158回・こども家庭審議会障害児支援部会 第21回 資料1-1、R8.8.19。以下「部会資料」)PDF p.2(https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001740121.pdf)、衆議院「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の一部を改正する法律案要綱」(第221回国会 衆法29。以下「要綱」)(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/HTML/gian/honbun/youkou/g22105029.htm)、厚生労働省「第8期障害福祉計画について」(法律の番号 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72187.html)
改正の要点:支援の対象・題名・施行日
いまの法律の「医療的ケア児」は、日常生活と社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠な児童で、18歳未満の人と、18歳以上で高等学校等に在籍する人を指します(第2条第2項)。部会資料は、法律の制定から18歳未満の児童への支援は徐々に整ってきた一方、成長を踏まえた対象の拡大、レスパイト・就労支援などの施策の充実、支援センターの強化が新たな課題になった、と改正の背景を説明しています。
| 項目 | いま | 令和9年4月1日から |
|---|---|---|
| 支援の対象 | 医療的ケア児とその家族 | 医療的ケア児等と重症心身障害者、それらの家族 |
| 支援センター | 医療的ケア児支援センター(都道府県知事) | 医療的ケア児等支援センター(指定都市・中核市など・特別区の長も) |
| 地域の協議会 | − | 医療的ケア児等支援地域協議会を新設 |
「医療的ケア児等」は、①医療的ケア児、②医療的ケア児だった人で、恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠な人、③恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠で、それにより自立した日常生活や社会生活を営むことが困難な状態にある人、の3つです。重症心身障害者は、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している人で、そのうち児童である人が重症心身障害児です(第2条第3項・第4項)。基本理念には、18歳に達した後なども切れ目なく保健医療サービスと福祉サービスを受けながら、希望する地域で暮らせるようにすることが加わります(第3条第3項)。
題名は「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」に変わります。声に出して読むと、途中で一度息継ぎが要る長さです。改正後の第2条第2項では、「高等学校等」に高等専門学校(第1学年から第3学年まで)と専修学校の高等課程も入ります。施行後3年をめどに、実施状況を見て検討を加える規定もあります。
出典: 部会資料 PDF p.2、要綱 一の1〜4・五、e-Gov法令検索「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」第2条(https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000081。改正後の条文は、同じ法令検索に令和9年4月1日施行の版として登録されています)
支援施策の充実:喀痰吸引等・レスパイト・就労・住まい
部会資料は、支援施策の充実を次のように整理しています。
- 保育・教育等: 喀痰吸引等を行うことができる介護従事者の配置(第9条第2項・第3項、第10条第2項)、社会的養護体制の拡充(第9条の2)、生涯学習の推進(第10条第3項)
- 生活・就労等: 日常生活支援(レスパイト・通学支援等。第11条)、切れ目ない医療の提供(第11条の2)、就労支援(第11条の3)、住居の確保(第11条の4)、ピアサポート(第12条第2項)
- 人材確保等: 支援に係る研修の実施方法の見直し(第20条)、医療的ケアの提供の在り方の見直し(第20条の2)
- その他: 国と地方公共団体が講じた施策の公表等(第8条の2)、地域格差の是正のための検証等(第22条)
要綱を読むと、介護従事者の配置は、保育所の設置者等と放課後児童健全育成事業を行う者、学校等の設置者が講ずる措置の例として加わるものです。放課後児童健全育成事業(いわゆる学童保育)は、放課後等デイサービスとは別の事業です。第11条は、国と地方公共団体が、一時的な預かり、夜間に居宅で受けるサービス、通学等の移動の支援、重度訪問介護などを受けられるよう、福祉サービスを提供する事業所への看護師等の配置の促進などの措置を講ずる、としています。第11条の4は、本人と家族が希望する期間入居できる共同生活の住居などの確保を、国と地方公共団体に求めています。就労の支援には、事業主に、医療的ケア児等と重症心身障害者の雇用の安定を図る努力を求める規定(第11条の3第3項)も入ります。
出典: 部会資料 PDF p.2、要綱 二の1〜8・四
支援センターの強化と、地域協議会の新設
医療的ケア児支援センターは医療的ケア児等支援センターになり、置けるのは都道府県知事に加えて、指定都市・中核市その他の政令で定める市・特別区の長に広がります。業務には、進行性の疾病などで医療的ケア児等や重症心身障害者になることが相当程度見込まれる人を含めた相談・情報提供・助言、個別避難計画の作成への協力、災害時に市町村と連携した情報の提供が加わります。法律案の附則では、施行の時に指定を受けている医療的ケア児支援センターは、新しい医療的ケア児等支援センターの指定を受けたものとみなされます。
医療的ケア児等支援地域協議会は、都道府県等が、本人と家族、学識経験者、関係機関などで置くことができる会議です。地域の支援体制の課題を共有し、体制の整備を協議し、協議が調った事項は構成員がその結果を尊重します。部会資料は、国の基本指針の成果目標で、都道府県は協議の場に代えてこの協議会を置くことを基本とする改正案を示しています。2026年10月27日の時点で、厚生労働省の第8期障害福祉計画(令和9年度〜11年度)のページには、基本指針の改正を「令和8年10月告示・令和9年4月適用予定」と書いています。自治体の計画づくりの中で、協議会やセンターの体制が決まっていく流れです。
出典: 部会資料 PDF p.2〜3、要綱 三、衆議院「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の一部を改正する法律案」附則第2条(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22105029.htm)、厚生労働省「第8期障害福祉計画について」(前掲)
放デイ・生活介護・GHが今から確かめること(Happiterの提案)
ここからは国の資料ではなく、私たちの提案です。部会資料に並ぶ国の作業は、施行令の制定と基本指針の改正です。事業所の報酬や指定基準は、別の流れで決まります。
- 卒業後の行き先を早めに話す(放デイ): 医療的ケアのある高校生について、18歳以降の生活介護・短期入所・グループホームなどの行き先を、本人・家族・相談支援専門員と早めに話しておく。改正の基本理念にある「切れ目なく」を、事業所の側からも形にする所です
- 喀痰吸引等ができる職員を一覧にする(全サービス): 研修を受けた職員と、受講の予定を一覧にしておく。衆議院と参議院の附帯決議(2026年7月10日・7月22日)は、喀痰吸引等研修について、様式の見直し等による事業者の負担軽減を検討することを求めています
- 所在地のセンターと協議会の動きを追う: 都道府県(指定都市・中核市・特別区も)の医療的ケア児等支援センターの窓口と、協議会の設置、第8期障害福祉計画の検討の場を確かめておく
- 受け入れられる条件を言葉にする(生活介護・GH): 医療的ケア児だった人と重症心身障害者が法律の対象に入り、住居の確保も国と自治体の施策になります。看護師等の配置や夜間の体制など、どの条件なら受け入れられるかを整理しておくと、地域の協議の場で話しやすくなります
- 報酬は報酬改定の資料で追う: 令和9年度報酬改定の検討チームが8月27日に出した主な論点(案)は、医療的ケア児支援法の改正を踏まえた検討や、障害児支援施策から障害者支援施策への円滑な接続・移行を促す検討が必要ではないか、としています。2026年10月27日の時点で、報酬や基準がどう変わるかは決まっていません。国の日程は令和9年度報酬改定の日程の記事にまとめています
出典: 部会資料 PDF p.3〜5(施行令・基本指針・附帯決議)、厚生労働省・こども家庭庁「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」(障害福祉報酬改定検討チーム 第62回 資料2、R8.8.27)PDF p.6(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001742921.pdf)
この記事は、厚生労働省・こども家庭庁の部会資料と、衆議院の法律案要綱・法律案を読んで整理したものです。施行後の運用や自治体の取組は、厚生労働省・こども家庭庁の資料と、所在地の自治体の案内を確認してください。
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。改正の詳細と自治体の取組は、厚生労働省・こども家庭庁の資料と所在地の自治体の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
