障害者グループホームの開業資金はいくら要るか — 国の調査の収支(介護サービス包括型で支出 年3,715万円)と、人員・住居の基準、入金の時期から運転資金を数える
出典: 厚生労働省・こども家庭庁「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(第48回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料5、令和7年11月25日)第17表 p.12(PDF p.13)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001599114.pdf)、厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)p.19・p.21(PDF p.20・p.22)(https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf)
国の調査で見る、グループホーム1事業所の1年の収支
表の「包括型」は介護サービス包括型、「日中型」は日中サービス支援型です(1事業所あたり・令和6年度決算。金額の単位は万円)。
| 項目 | 包括型 | 日中型 |
|---|---|---|
| 収入 | 3,990.1 | 5,803.0 |
| 支出 | 3,715.2 | 5,505.2 |
| うち給与費 | 2,460.2 | 3,837.5 |
| 収支差 | 274.9 | 297.9 |
| 収支差率(平均) | 6.9% | 5.1% |
| 収支差率(中央値) | 5.3% | 5.9% |
| 定員 | 16人 | 15人 |
介護サービス包括型は、調査に答えた341事業所の平均です。職員は常勤換算で6.15人(世話人2.66人・生活支援員1.99人・サービス管理責任者0.56人・管理者0.46人・夜間支援従事者0.41人)。収入の内訳は、報酬など(自立支援費等収益)が3,167.0万円(79.4%)、入居者からの利用料が676.7万円(17.0%)です。定員1人あたりにすると、収入は年248.2万円、支出は年231.1万円です。
この数字は、入居者がいて運営が続いている事業所の平均です。開所したばかりの事業所は、入居者がそろうまで収入がこれより少なく、人員は基準で先に決まります。
出典: 同調査 第17表・第18表 p.12(PDF p.13)、常勤換算従事者数 第17表・第18表 p.23(PDF p.24)
収入は「報酬」と「入居者からの利用料」の2本
基準省令は、グループホームが入居者から受け取れる費用として、利用者負担額のほかに食材料費・家賃・光熱水費・日用品費などを定めています(第210条の4)。家賃のうち、特定障害者特別給付費(家賃の助成)が入居者に代わって事業者に支払われる分は、入居者から受け取る家賃から差し引きます。費用の内容と額は、あらかじめ説明して同意を得ます。
報酬(給付費)は、提供した月の翌月1日〜10日に国保連へ請求し、審査のあと請求した月の翌月に支払われます。東京都の国保連の令和8年度の支払日は原則15日なので、12月1日に開所すると、12月分の報酬が入るのは2月15日です。請求が返戻(差し戻し)になると、その分の入金はさらに1か月以上遅れます。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「基準省令」)第210条の4(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、東京都国民健康保険団体連合会「令和8年度障害福祉サービス費等の支払日について」(https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/receipt_payment/kanri/6_r8_shogai_payment_date_list.pdf)、名古屋市「指定障害福祉サービス事業者等ガイドブック2024」第2章 報酬請求編 p.79・p.82・p.85(https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/wel/docs_jigyosya/2024112900018/file_contents/guide2024chapter2.pdf)
運転資金の数え方(4つの手順)
- 月の支出を出す: 人件費は人員基準から数えます。世話人は常勤換算で入居者数を6で割った数以上。生活支援員は、障害支援区分3の人数÷9、区分4÷6、区分5÷4、区分6÷2.5の合計以上。サービス管理責任者は入居者30人以下なら1人以上。管理者は常勤(管理上支障がなければ兼務可)。入居者数は前年度の平均で、新規指定の時は推定数で数えます。たとえば入居者10人(区分3が4人・区分4が4人・区分5が2人)なら、世話人は約1.67以上、生活支援員は約1.61以上(4÷9+4÷6+2÷4)です。ここに家賃・水道光熱・食材・保険などを足します
- 入金までの月数をかける: 開所した月から最初の入金まで約2か月半です。月の支出が国の平均並み(約310万円)なら、2か月分だけで約620万円です(試算)
- 入居者がそろうまでの不足を足す: 定員10人で、支出が定員1人あたりの平均並み(月約193万円)、入居が定員の半分で収入も平均の半分(月約103万円)なら、その月は約89万円の不足です(試算)。何か月で入居者がそろうかの見込みに、この不足をかけます
- 新規指定の特例と返戻を織り込む: 令和8年6月1日以降に新規指定を受けた介護サービス包括型・日中サービス支援型は、令和9年度報酬改定までの間、基本報酬が所定単位数の1000分の972です(外部サービス利用型は対象外。くわしくは新規指定の基本報酬の特例の記事)。返戻で1か月遅れる分も、余裕として見ておきます
人員の端数の扱いや、夜間の体制などの加算の要件は、指定権者の手引きで確かめてください。
出典: 基準省令 第208条・第209条、改定事項 p.19・p.21(PDF p.20・p.22)、経営概況調査 第17表(定員あたり収入・支出から試算)
物件を探す前に読む、住居の基準
基準省令は、グループホームの住居について次のように定めています(第210条)。
- 場所: 住宅地、または住宅地と同じ程度に家族や地域住民と交流できる地域にあり、入所施設や病院の敷地の外にあること
- 定員: 事業所全体で4人以上。1つの住居は2人以上10人以下(既存の建物を使う場合は20人以下、都道府県知事が特に必要と認める時は30人以下)。ユニットは2人以上10人以下
- 居室: 1室の定員は原則1人(サービス提供上必要と認められる場合は2人)。面積は、収納設備等を除いて7.43平方メートル以上
- サテライト型住居: 定員1人。居室は同じく7.43平方メートル以上
物件の契約金・改修・家具や家電・採用の費用は、地域と物件で大きく変わり、国の資料に目安はありません。建物は、建築基準法・消防法・都市計画法などの基準も満たす必要があるので、契約する前に指定権者と関係機関に確かめます。
出典: 基準省令 第210条
自治体の事前協議は「物件を決める前」から
- 埼玉県(さいたま市・川越市・川口市・越谷市・和光市を除く): 新規の立ち上げは、遅くとも事業開始の半年前までに事前説明会へ出席。土地や建物を選ぶ前に検討中の物件の平面図等を出し、事業開始の4か月前を目途に事前協議を完了。指定申請は、指定を希望する月の前々月末日までに必着
- 堺市: グループホームなど居住支援系は、指定申請の前に事前協議が必要。事業開始の3か月前までに、平面図(各室の内法の面積を記入)、付近の地図、検査済証・確認済証等の写しなどを出す。事前協議には一般的に1か月半程度かかり、現地確認の当日までに備品の搬入と消防の点検等を済ませておく
埼玉県は、建築物は消防法・建築基準法・都市計画法などの基準を満たす必要があり、計画を進める前に関係機関へ相談するよう案内しています。所在地の指定権者のページで、次の説明会と締切を先に確かめてください。
出典: 埼玉県「事業者指定の手続き(共同生活援助)」(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0605/gh/index.html)、堺市「事前協議について」(2026年7月14日更新 https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/fukushikaigo/shogaifukushi/jigyousya/syofuku_jigyousya/jizenkyougi.html)
開設したあとに見られる書類は、グループホームの運営指導で見られる書類にまとめています。
この記事は国と自治体の公表資料を読んで整理したもので、金額は国の調査の平均と、それを使った試算です。指定の可否・住居の基準の適用・申請の締切は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市など)が判断し、自治体によって異なります。所在地の指定権者に確認してください。
この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
