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障害福祉のBCPの作り方|厚労省ひな形の埋め方と訓練

2026-10-26書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
BCP(業務継続計画。災害や感染症が起きても支援を止めない、止まっても早く再開するための計画)は、障害福祉サービスと障害児通所支援の事業所の義務です。厚生労働省は感染症と自然災害の2種類のガイドラインとひな形(Word)を出しています。ひな形の「対応事項」を、ガイドラインを見ながら自分の事業所の人・連絡先・地域の災害・備蓄に置き換えれば、骨組みはできます。作ったあとの周知・研修・訓練・定期的な見直しまでが基準省令の義務です。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第33条の2(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第38条の2(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)

基準省令で決まっていること

決まり障害福祉サービスの基準児童の基準(児発・放デイ)
感染症と非常災害のBCPを作り、それに従って必要な措置を講じる第33条の2第1項第38条の2第1項
従業者に周知し、必要な研修と訓練を定期的に行う第33条の2第2項第38条の2第2項
定期的に見直し、必要に応じて変更する第33条の2第3項第38条の2第3項

第33条の2は、生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条、共同生活援助は第213条で準用します。放課後等デイサービスは、児童の基準 第71条で準用します。

自然災害のガイドラインは、全ての障害福祉サービス等事業者に計画の策定や研修・訓練の実施等が義務付けられ、3年間の経過措置を経て令和6年度から義務化された、と書いています。

出典: 障害福祉サービスの基準 第33条の2・第93条・第202条・第213条、児童の基準 第38条の2・第71条、厚生労働省「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」(令和3年3月。以下「ガイドライン」)p.1(PDF p.3)(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000756659.pdf)

厚労省のガイドラインとひな形は2種類

種類載っているページひな形
感染症感染対策マニュアル・業務継続ガイドライン等新型コロナウイルス感染症BCPひな形(入所・入居系/通所系/訪問系の3種類・Word)、様式ツール集(XLS)
自然災害自然災害発生時の業務継続ガイドライン等自然災害BCPひな形(1種類・Word)

どちらのページにも研修動画があります。ガイドラインは、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援・児童発達支援・放課後等デイサービスなどを通所系に、共同生活援助を入所・入居系に分けています。短期入所は通所系を基本に、必要に応じて入所・入居系を参考にします。

2つを別々に作る必要はありません。京都市の資料(解釈通知の抜粋)は、感染症と災害の業務継続計画を一体的に作ることを妨げない、としています。

出典: 厚生労働省「感染対策マニュアル・業務継続ガイドライン等」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15758.html)、同「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン等」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17517.html)、ガイドライン p.1(PDF p.3)、京都市「業務継続に向けた計画等の策定や研修・訓練等の実施の義務化(解釈通知抜粋)」p.1(https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000294/294472/besshi4_gyoumukeizokukeikaku.pdf)

ひな形のどこを自分の事業所の言葉に直すか

ガイドラインの3-2-1から3-2-4の記載が、ひな形の「対応事項」に当たります。項目ごとにガイドラインを参考にして、自分の事業所での具体的な対応を書く、という使い方です。ひな形の巻末には参考の記載フォームも付いています。作る単位は施設・事業所ごとで、複数の事業所を持つ法人は、法人本部のBCPも別に作ることが望まれる、とされています。

ひな形をそのまま綴じただけのBCPは、災害の日に開いても、誰が何をするかが書いてありません。自然災害のひな形で、自分の言葉に直す所は次のとおりです。

  1. 基本方針: 例は「利用者の安全確保・サービスの継続・職員の安全確保」。ガイドラインは、一般的には3日間を乗り切れば外部の支援を受けられると想定され、3日間の初動対応が重要、としています
  2. 推進体制: 役職と氏名を、いまの職員で埋めます
  3. リスクの把握: 所在地の自治体のハザードマップを貼り、電気・水道・通信などが止まった時の影響を日ごとに書きます
  4. 優先業務: 優先する業務と、最低限必要な人数を決めます。単一の事業だけなら「優先する事業」の項目は割愛できます
  5. 発動基準: 地震・水害ごとに書きます。統括責任者が不在の時の代わりの人も決めます
  6. 備蓄: 行政の支援が始まる目安の被災後3日目まで、自力で続けるための備蓄をリストにし、期限を見る担当を決めます。水や非常食は、期限が切れても自分からは教えてくれません

通所系は、利用中に被災した時の動きも書きます。ガイドラインは、安否確認のあと緊急連絡先で家族に連絡し、順に帰宅を支援すること、送迎車が使えない場合の手段も考えておくこと、台風などで大きな被害が予想される時のサービス休止・縮小の基準を決めて利用者・家族に説明しておくこと、を挙げています。

出典: ガイドライン p.2〜3・p.10〜13・p.19・p.21・p.33(PDF p.4〜5・p.12〜15・p.21・p.23・p.35)

研修と訓練:何を・どのくらい・どう残すか

基準省令の文言は「定期的に」です。回数は国の解釈通知(基準の読み方を示した通知)にあり、自治体の資料で読めます。

何を想定して訓練するかについて、ガイドラインは、インフラ・設備・納品が止まった場合や、責任者が不在の場合など、さまざまな状況を想定するよう求めています。記録は、日付・参加者・想定した場面・やったこと・出た課題・BCPに反映した所、の欄をそろえておくと、次の見直しにそのまま使えます(私たちの例)。年度の初めに、研修と訓練の月を予定に入れてしまうのが、抜けない一番の方法です。

出典: 京都市の資料(前掲)p.1、神戸市福祉局監査指導部「児童発達支援・放課後等デイサービス 業務継続計画(BCP)感染対策委員会 安全計画」(2024年1月12日)スライド6(https://www.city.kobe.lg.jp/documents/50203/3_bcp.pdf)、ガイドライン p.13(PDF p.15)

見直しのタイミングと、運営指導で見られる所

ガイドラインは、最新の動向や訓練で洗い出された課題をBCPに反映させるなど、定期的に見直すとしています。ハザードマップは見直されることがあるので定期的に確かめて差し替え、緊急連絡網も定期的に手入れをします。訓練のあと、職員の入れ替わりで推進体制の名前が変わった時、利用者や送迎のルートが変わった時も、見直す時期です。

国の「確認項目及び確認文書」は、BCPを作って必要な措置を講じているか、従業者に周知し研修・訓練を定期的に行っているか、定期的に見直して必要に応じて変更しているか、を見ます。確認文書は、業務継続計画・周知記録(配布記録、説明記録等)・研修・訓練記録・見直し記録等です(生活介護・就労継続支援B型・共同生活援助の表)。児発・放デイも同じ条文があるので、同じ形で残しておくと説明しやすくなります。BCPが無い場合の減算は、未実施減算4種の記事にまとめています。

出典: ガイドライン p.11・p.13・p.17(PDF p.13・p.15・p.19)、厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」別添「確認項目及び確認文書」生活介護 p.32・就労継続支援B型 p.76・共同生活援助 p.93(PDF p.34・p.78・p.95)(https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf)
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茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。ひな形とガイドラインは厚生労働省のページで最新版を確認してください。研修・訓練の回数は所在地の指定権者の案内に従ってください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。