就労継続支援B型の開業資金|国の調査の収支から数える
出典: 厚生労働省・こども家庭庁「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(第48回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料5、令和7年11月25日)第14表 p.10(PDF p.11)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001599114.pdf)、厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日。以下「改定事項」)p.19〜20(PDF p.20〜21)(https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf)
国の調査で見る、B型1事業所の1年の収支
| 項目(1事業所あたり) | 令和6年度決算 | 月にならすと |
|---|---|---|
| 収入 | 3,805.5万円 | 約317万円 |
| うち報酬など | 3,593.1万円 | 約299万円 |
| 支出 | 3,568.1万円 | 約297万円 |
| うち給与費 | 2,592.9万円 | 約216万円 |
| 収支差 | 237.4万円(6.2%) | 約20万円 |
調査に答えた348事業所の平均で、職員数(サービス換算)は5人です。収入の94.4%が報酬など(自立支援費等収益)で、利用者からの利用料は73.7万円(1.9%)にとどまります。定員1人あたりにすると、収入は年182.9万円、支出は年171.5万円です。収支差率の中央値は3.4%で、半分の事業所はそれ以下です(令和5年度も平均6.0%・中央値3.4%)。
この表には、生産活動の売上や利用者に払う工賃の行はありません。基準省令は、生産活動の収入から必要な経費を引いた額を工賃として払うこと、1人あたりの工賃の月の平均額を3千円以上にすること、年度ごとに工賃の目標を決めて利用者に知らせ都道府県に報告すること、を定めています。作業の材料や道具の代金は売上が入る前に出ていくので、報酬の運転資金とは分けて見積もります。
出典: 同調査 第14表 p.10(PDF p.11)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「基準省令」)第201条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)
報酬が入るのは「翌々月」
報酬は、提供した月の翌月1日〜10日に国保連へ電子請求し、審査のあと、請求した月の翌月に支払われます。東京都の国保連の令和8年度の支払日は原則15日(土・日・祝日は直後の平日)です。
令和8年12月1日に開所した場合の例:
| 提供した月 | 国保連へ請求 | 入金 |
|---|---|---|
| 12月 | 1月1日〜10日 | 2月15日 |
| 1月 | 2月1日〜10日 | 3月15日 |
| 2月 | 3月1日〜10日 | 4月15日 |
開所祝いの花がしおれるころに、やっと最初の報酬が入る計算です。請求が返戻(差し戻し)になると、その分の入金はさらに1か月以上遅れます。
出典: 名古屋市「指定障害福祉サービス事業者等ガイドブック2024」第2章 報酬請求編 p.79・p.82(https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/wel/docs_jigyosya/2024112900018/file_contents/guide2024chapter2.pdf)、東京都国民健康保険団体連合会「令和8年度障害福祉サービス費等の支払日について」(https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/receipt_payment/kanri/6_r8_shogai_payment_date_list.pdf)
運転資金の数え方(4つの手順)
- 月の支出を出す: 人件費は人員基準から数えます。職業指導員と生活支援員の総数は、常勤換算で利用者の数を10で割った数以上(それぞれ1人以上・どちらか1人以上は常勤)。サービス管理責任者は利用者60人以下なら1人以上(1人以上は常勤)。管理者は管理上支障がなければ兼務できます。利用者の数は前年度の平均で、新規指定の時は推定数です。報酬の区分(Ⅰ)〜(Ⅲ)は、人員配置の6対1・7.5対1・10対1でも分かれます。ここに家賃・水道光熱・送迎・保険などを足します
- 入金までの月数をかける: 開所した月から最初の入金まで約2か月半です。月の支出が国の平均並み(約297万円)なら、2か月分だけで約595万円です(試算)
- 利用者がそろうまでの不足を足す: 定員20人で、支出が定員1人あたりの平均並み(月約286万円)、利用が定員の半分で収入も平均の半分(月約152万円)なら、その月は約133万円の不足です(試算)。何か月で利用者がそろうかの見込みに、この不足をかけます
- 新規指定の扱いを織り込む: 新規指定の事業所は、初年度の1年間を平均工賃月額1万円未満とみなして算定します(年度の途中の指定は初年度と2年度目)。支援を始めて6か月たった月からその年度の3月までは、始めてからの6か月の平均工賃月額で算定できます。サービス費(Ⅰ)・定員20人以下の1万円未満の区分は1日590単位で、令和8年6月1日以降の新規指定は、その1000分の984(約581単位・試算)です。離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所などは、従前の単価です。区分の決まり方はB型の報酬区分と単位数の記事にまとめています
定員・稼働率・職員数・家賃を動かした月の手残りは、障害福祉 収益シミュレーターで概算できます(登録なし)。
出典: 基準省令 第51条・第186条(第199条で準用)、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号)新旧対照表(最終改正 令和8年5月28日)PDF p.292〜294(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001705650.pdf)、厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」(令和8年度)就労継続支援B型サービス費 PDF p.26〜27(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001658031.pdf)、改定事項 p.19〜20(PDF p.20〜21)、経営概況調査 第14表(定員あたり収入・支出から試算)
開所する前に出ていくお金(見積もりの項目)
物件・内装・設備・車両の費用は、地域と物件で大きく変わり、国の資料に目安はありません。次の項目ごとに見積もりを取ります。
- 申請の準備: 指定を申請できる者は、都道府県の条例で定められています。法人の設立が要るかを含めて、所在地の手引きで確かめます
- 物件: 契約金と、開所までの家賃
- 内装・設備: 基準省令は、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室その他運営上必要な設備を求めています。訓練・作業室は作業に支障がない広さで、必要な機械器具等を備えます。相談室には談話が漏れない間仕切り等が要ります
- 生産活動の道具と最初の材料: 作業の種類で大きく変わります
- 送迎車: 送迎をする場合
- 採用: 求人の費用と、開所前の研修期間の給与
物件を決める前に、指定権者へ相談します。障害者総合支援法は、就労継続支援の指定を、サービスの量を定めて行うとしています。都道府県の障害福祉計画で決めた必要な量に、地域の量がすでに達している時などは、指定をしないことができます。
出典: 基準省令 第188条(第200条で準用)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 第36条第2項・第3項第1号・第5項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123)
この記事は国と自治体の公表資料を読んで整理したもので、金額は国の調査の平均と、それを使った試算です。指定の可否・設備の基準の適用・申請の締切は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市など)が判断し、自治体によって異なります。所在地の指定権者に確認してください。
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
障害福祉 収益シミュレーター。事業種別で就労継続支援B型を選び、定員・稼働率・職員数・家賃を動かすと、月の手残りの目安がその場で出ます。令和8年6月以降の新規指定の特例単価で計算するスイッチもあります(登録なし)。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。金額は国の調査の平均と仮の条件での目安です。物件・定員・地域で大きく変わるので、指定権者の事前協議と見積もりで確かめてください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
