運営指導の当日の流れ — 巡回・書類の確認・ヒアリング・講評まで、国のマニュアル(令和8年6月)と自治体の例で読む「何を聞かれるか」
出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月。以下「マニュアル」)p.18・p.25・p.28(https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf)、西宮市「障害福祉サービス事業者等(通所系サービス、施設系サービス、グループホーム等)に対する運営指導について」(2026年5月15日更新 https://www.nishi.or.jp/jigyoshajoho/shakaifukushihojin/shidokansa/20201028152342094.html)、札幌市「運営指導(障害福祉サービス等)」(2026年6月1日更新 https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/siteisidou/uneisidou.html)
当日の流れと時間(自治体の例)
| 札幌市 | 西宮市(1サービス) |
|---|---|
| 挨拶 | 事業所内見学 20分 |
| 質問等 30分〜1時間 | 書面確認 2時間30分 |
| 資料の確認 1時間程度 | 担当者の打合せ 10分 |
| 講評・質疑応答 30分〜1時間 | 講評 10分 |
西宮市の書面確認は、「運営・処遇」「人員・労務」「報酬請求」の担当に分かれて同時に進みます。札幌市は、資料の確認の間は管理者などが離席して通常業務をしてよい(質問には対応)としています。どちらも標準的な例で、当日の進み方で順序や時間は変わります。日程は、西宮市の場合、実施日のおおむね1か月半前に電話で調整し、おおむね1か月前に実施通知書が届きます。国のマニュアルも、通知は原則として1か月前まで、通知には当日の進め方やスケジュールも書く、としています(p.23)。
出典: 西宮市・札幌市の上記ページ、マニュアル p.23
国のマニュアルが示す、当日の3つの確認
運営指導は「確認項目及び確認文書」に基づいて、関係書類を見ながら関係者に話を聞く面談方式で行います(p.19)。3つの確認は同じ日に行うのが通常ですが、別の時期に分けることもできます(p.19)。
- サービスの実施状況(現地で確認): 平面図を見ながら管理者の案内で施設を巡回し、設備と利用者の様子、従業者の声かけや態度を見ます。そのうえで、巡回で気になった利用者など3名程度について、アセスメント・計画・記録・モニタリングの一連の流れを書類で確かめます(p.25〜28)
- 運営体制: 人員は、勤務体制一覧表から勤務実績表、その根拠のタイムカードへとたどって確かめます。勤怠管理システムやスマートフォンのアプリで管理している場合は、画面で見ながら仕組みを説明します。非常災害・事故防止なども見られます(p.33)
- 報酬請求: 算定している加算が要件に合っているかを見ます。加算は、確認文書のほかに、個別支援計画・支援記録・研修記録・会議録など、加算ごとの要件の資料を求められることがあります(p.35)
見る書類は原則として前年度から直近の実績、利用者の記録は原則3名以内、出す資料は1部です。書類をICTで管理している事業所は、印刷せずにパソコンの画面で確認する方法も示されています(p.20)。利用者の書類は現地で閲覧し、コピーや持ち帰り、写真撮影・スキャンは原則しない(必要な時は事前に同意を得る)とされています(p.29)。札幌市は、必要に応じて施設・設備や書類の一部を写真撮影する場合があると案内しています。
出典: マニュアル p.19〜20・p.25〜29・p.33・p.35、札幌市の上記ページ
ヒアリングで聞かれること(マニュアルの質問例)
マニュアルには、確認項目を補う質問の例が載っています。
- 利用者について: 日ごろの様子、本人の希望をどう確かめているか、アセスメントをいつ・どう行っているか、計画の目標の達成状況をどう確かめているか、定期的にモニタリングをしているか(p.31)
- 巡回で気になった点: 身体拘束を受けている利用者はいるか、いる場合はなぜ必要と判断し、早く外すためにどう取り組んでいるか(p.31)
- 運営について: 法人のほかの部署と兼務している職員、派遣職員の勤務時間の把握、非常災害の訓練、秘密保持の誓約のさせ方、苦情の受付と対応、最近のヒヤリハットとその対応(p.34)
- 記録から: 運営規程と重要事項説明書に食い違いがなく最新か、災害訓練(火災は年2回以上など)、事故対応のマニュアル、事故の報告(p.34)
アセスメントは利用者ごとに違うので、複数の利用者の計画がすべて同じ内容ということは本来ありえない、という見方も書かれています(p.30)。計画の文面を利用者ごとに見直しておくと、説明がしやすくなります。
出典: マニュアル p.30〜31・p.34
出席する人と、答える人
国のマニュアルは、実施通知に「事業所側の出席者(役職名で可)」を書くとしています(p.23)。札幌市は、出席者を管理者(必須)、サービス管理責任者等、実情に詳しい従業者とし、全ての従業員の出席は求めないと案内しています。ヒアリングは原則として管理者とサービス管理責任者等が直接答え、コンサルタントや行政書士などの同席はオブザーバー(傍聴)に限り、代わりに答えることは認めない、としています。当日に答えるのは事業所の人なので、準備は前に済ませておく必要があります。
出典: マニュアル p.23、札幌市の上記ページ
講評と、そのあと
運営指導が終わると、担当者どうしで結果を確かめ、多くの場合その場で口頭の講評があります(必ず行うものではありません)。最終的な結果は、後日文書で通知されます(p.37)。指摘のうち改善が要るものは、期限を決めて改善報告書を出します。報告書には次のことを書くよう示されています(p.38)。
- どのような改善を行ったか(具体的な内容)
- 終わっていない場合は「いつまでに何を行うのか」
- 改善が分かる資料(写真・記録など)があれば添える
「努力します」のような抽象的な書き方は認められない、と明記されています。期限は自治体ごとに違い、西宮市は結果通知が実施日のおおむね1か月後・改善報告は結果通知からおおむね1か月半、札幌市は結果通知がおおむね2〜3週間後・改善報告は結果通知から1か月以内です。
出典: マニュアル p.37〜38、西宮市・札幌市の上記ページ
当日までに整えておくこと(私たちの提案)
国の決まりと自治体の案内から逆算すると、当日の前に次の5つを済ませておくと慌てにくくなります。
- 巡回の順路と平面図: 指定の時の平面図と今の使い方が違えば、理由を説明できるようにしておく
- 利用者3名分を通しで見る: アセスメント→計画→同意・交付→記録→モニタリングを、日付の順に読めるか確かめる
- 人員の突き合わせ: 勤務体制一覧表・勤務実績表・タイムカード(画面)の数字がそろっているか
- 加算ごとの束: 算定している加算ごとに、要件を示す書類をまとめておく
- 答える練習: 上の質問例を、管理者とサービス管理責任者が自分の言葉で答えられるか確かめる
通知が届いてから当日までの4週間の段取りと、見られる範囲(前年度から直近・3名以内・1部)は、運営指導(実地指導)で確認される書類は何かにまとめています。
この記事は国と自治体の公表資料を読んで整理したものです。運営指導の進め方・時間・提出物の判断は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市など)が行い、自治体によって異なります。届いた実施通知と、所在地の指定権者の案内を優先してください。
この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
