障害福祉の事故報告|報告する事故の基準・期限・報告先
出典: 京都府「事故報告・感染症発生報告」(https://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/jikohoukoku.html)、香川県「事故報告」(https://www.pref.kagawa.lg.jp/shogaifukushi/jikohoukoku.html)、松江市障がい福祉サービス等事故報告事務取扱要領(https://www.city.matsue.lg.jp/material/files/group/44/toriatukaiyoukou.pdf)
基準省令で決まっていること
障害福祉サービスの基準 第40条は、サービスの提供で事故が起きた時の3つを定めています。都道府県・市町村・利用者の家族等への連絡と必要な措置、事故の状況と事故に際して採った処置の記録、賠償すべき事故の損害賠償です。放課後等デイサービス・児童発達支援の児童の基準 第52条も同じ3つで、連絡には「速やかに」と書いています。事故の記録は、提供した日から5年間保存します(第75条第2項・第54条第2項)。
基準省令が決めているのは「連絡する」までです。報告の範囲・期限・様式・報告先は、自治体の条例や要領・案内で決まります。京都府は府の条例等を根拠に、事故が起きたら府等への報告が要るとしています。金沢市のサイトに載っている標準例(障害福祉サービス事業者等における事故発生時の報告の取扱い)は、市町が既に要領等を定めている場合はその指示に従うよう書いています。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第40条・第75条(生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条、共同生活援助は第213条で準用)(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第52条・第54条(放課後等デイサービスは第71条で準用)(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)、金沢市「障害福祉サービス事業者等における事故発生時の報告の取扱い(標準例)」(https://www4.city.kanazawa.lg.jp/material/files/group/52/161101hyojunrei.pdf)
報告が要る事故の範囲(自治体の例)
| 項目 | 書き方の例 | 自治体 |
|---|---|---|
| ケガ | 骨折・火傷・創傷・誤嚥・異食・誤与薬などのうち、入院か医療機関での治療を要するもの。軽微な治療で、管理者が報告の必要を認めないものは除く | 京都府 |
| ケガ | 医療機関で受診を要したものが原則 | 香川県 |
| ケガ | 外部の医療機関で治療を受けた場合が原則。擦過傷や打撲など比較的軽易なケガは除く | 金沢市の標準例 |
| 誤薬 | 身体への影響の有無にかかわらず、すべて | 松江市 |
| 死亡 | 事故・病気等により死亡した場合は報告 | 香川県 |
| 死亡 | 病気による死亡は含まない。ただし事業所の責に帰する可能性がある事案や、遺族から苦情がある場合は対象 | 松江市 |
| 職員の法令違反 | 利用者の処遇に影響を及ぼすもの(預り金の横領、送迎中の交通ルール違反による交通事故など) | 京都府 |
| 行方不明・火災 | 報告の対象として挙げている | 松江市 |
同じ誤薬でも、京都府は治療を要するものが対象、松江市は影響の有無にかかわらずすべて。自治体が違えば、ここまで違います。
4つの例はどれも、事業者の過失の有無を問いません。京都府は、利用者同士のけんか・無断外出・送迎中の追突など、第三者や利用者自身に主な原因があるものも含む趣旨だとしています。送迎中の事故は、4つとも対象です。
感染症・食中毒は、京都府・松江市・金沢市の標準例とも、1週間以内に死亡者か重篤な患者が2名以上、または10名以上か全利用者の半数以上で報告の対象としています。京都府は、所管の保健所への連絡です。京都府は、個人情報の漏えい(紛失・盗難等)も、所管の保健所へ速やかに報告して指示に従うよう求めています。
迷ったら、報告する側に倒します。京都府の範囲にも「その他、管理者が報告を必要と判断したもの」が入っています。
出典: 京都府「事故報告・感染症発生報告」、香川県「事故報告」、松江市障がい福祉サービス等事故報告事務取扱要領、金沢市「障害福祉サービス事業者等における事故発生時の報告の取扱い(標準例)」
第一報と報告書の期限
| 第一報 | 報告書 | 自治体 |
|---|---|---|
| 緊急性の高いものは、速やかに電話で | 電話のあとに提出(日数の定めはページに無い) | 京都府 |
| 直ちに口頭で(県と市町へ) | 事故発生日から約1週間以内 | 香川県 |
| 事故発生後、電話で | 第1報後おおむね1週間以内。時間がかかる時は、その旨を報告して指示を受ける | 松江市 |
| 速やかにFAXかメールで。個人情報の部分は伏せ、送付確認の電話で口頭で伝える | 経過を順次報告し、区切りがついたところで報告書 | 金沢市の標準例 |
「第一報は電話」と決めつけず、所在地の要領の言葉どおりに手順書へ写します。香川県・松江市・金沢市の標準例は、報告書より先に第一報を入れる流れで、京都府も緊急性の高いものは電話が先です。香川県は、状況が確定していない場合は後日、経過報告として連絡するよう書いています。
出典: 京都府「事故報告・感染症発生報告」、香川県「事故報告」、松江市障がい福祉サービス等事故報告事務取扱要領、金沢市の標準例
報告先は1か所とは限らない
- 京都府: 事業所を所管する京都府保健所と、利用者の支給決定を行った市町村。府外の市町村が支給決定した利用者は、保健所のほか、その市町村の指示に従って報告
- 香川県: 県障害福祉課(指定権者)、利用者の支給決定を行う市町の担当課、事業所が所在する市町の担当課
- 金沢市の標準例: 支給決定市町村、事業者を指定する県又は市町、事業所が所在する市町の「すべて」
隣の市が支給決定をした利用者がいると、報告先はその市にも広がります。京都府は、移動支援など市町村が行う地域生活支援事業は、府への報告は要らず、市町村への報告が要るとしています。
手順書には、報告先を課の名前と電話番号まで書いておきます。事故の直後に調べ始めると、第一報が遅れます。所在地の要領は、事故の起きた日に初めて読むには、少し長すぎる文書です。
出典: 京都府「事故報告・感染症発生報告」、香川県「事故報告」、金沢市の標準例
報告書の項目と、再発防止策の書き方
京都府が挙げる報告事項は、報告年月日、事業所の概要、利用者の概要、事故の概要(日時・場所・種別・経緯・事故後の対応)、利用者と家族への対応(状況・連絡と説明・損害賠償等)、事故の原因と今後の改善策です。香川県は、事故内容・現場での職員の対応・家族への報告内容・家族の反応・改善策等を漏れなく書き、トイレや居室など、どこでどう起きたかを描いた事故発生状況略図を添えるよう求めています。
香川県はさらに、事故前後の状況と採った処置を、管理者が職員への聞き取り等をもとに詳しく記録し、事故原因の解明と、過去の事故やヒヤリハットの分析をして改善策を検討・実践するよう求めています。改善策の欄が「気をつける」「見守りを強化する」で終わると、次の事故を防ぐ手が残りません。次の4つで書きます。
- 事実: いつ・どこで・誰が見ていて・何が起きたか。推測は推測と分けて書く
- 原因: 本人の状態・環境・職員の動き・手順・道具のどれか(いくつでもよい)
- 改善策: 変えるもの(場所・手順・人の配置・道具)、担当する人、いつから
- 確かめ方: いつ、何を見て、効いたかどうかを判断するか
事故の手前の「ヒヤリ」を集める形は、ヒヤリハット報告をデータにする記事にまとめています。全20回の伴走研修では、第10回「ICTでヒヤリハットを記録・振り返り 〜小さな"ヒヤリ"を、命を守る"データ"へ〜」がこのテーマの回です。
出典: 京都府「事故報告・感染症発生報告」、香川県「事故報告」
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
議事録も計画書も、最後は職員が打ちます。その職員が怖がらずに道具を使い始める入口の60分を、研修の第1回「ICTって何? 怖がらずに使える"道具"の話」そのまま・無料で。11月16日(月)10:00〜11:00・Zoom。顔出し・発言は任意、聞くだけでも大丈夫です。参加しても、研修の申し込みは義務ではありません。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。事故報告の様式・期限・報告先は、都道府県・市町村によって異なります。所在地の指定権者と、支給決定をした市町村の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
