福祉事業所のヒヤリハット報告をデータにする(紙からGoogleフォームへ)
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第40条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第52条(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)、厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月。以下「手引き」)p.24〜25(PDF p.28〜29)(https://www.mhlw.go.jp/content/001282170.pdf)
事故・ヒヤリハットの記録と報告の決まり
| 決まり | 障害福祉サービスの基準 | 児童の基準(放デイ・児発) |
|---|---|---|
| 都道府県・市町村・家族等への連絡と、必要な措置 | 第40条第1項 | 第52条第1項(「速やかに」) |
| 事故の状況と、事故に際して採った処置の記録 | 第40条第2項 | 第52条第2項 |
| 賠償すべき事故の損害賠償を速やかに行う | 第40条第3項 | 第52条第3項 |
| 事故の記録を、提供した日から5年間保存 | 第75条第2項 | 第54条第2項 |
第40条と第75条は、生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条、共同生活援助は第213条で準用します。放課後等デイサービスは、児童の基準 第71条で準用します。
ヒヤリハットという言葉は、どちらの基準省令の条文にもありません。国の手引きは、ヒヤリハット事例が見過ごされて放置されると虐待や不適切な支援、事故につながるとし、早い段階で把握・分析して対策を講じる必要がある、としています。
利用者がケガをして受診するなどの事故は、都道府県に事故報告書を出し、支給決定をした市町村にも報告します。様式と報告の基準は、都道府県によって違います。
出典: 障害福祉サービスの基準 第40条・第75条・第93条・第202条・第213条、児童の基準 第52条・第54条・第71条、手引き p.24〜25(PDF p.28〜29)
紙の報告書が「綴じて終わり」になる理由
- 数えられない: 紙は1枚ずつ読むしかなく、「どの場面で多いか」を出すには、誰かが書き写して数える手間が要ります
- 回覧で止まる: 1枚の紙を順番に回すので、全員が読むまで日がかかり、誰が読んだかもわかりません
- 書くのに時間がかかる: 手書きの様式は欄が多く、忙しい日ほど後回しになります
- 書いた人が責められる空気: 名前を書く様式だと、報告が「失敗の申告」になり、出す人が減ります
手引きは、職員のチェックリストについて、組織の課題を確かめて改善策を考えるもので、特定の個人を追及したり批判したりするものではない、としています。ヒヤリハットの報告も、同じ考え方で扱います。
Googleフォームで集める項目
| 項目 | 入れ方 | 振り返りでの使い道 |
|---|---|---|
| 日時 | 日付と時刻 | 時間帯別のグラフ |
| 場所 | 選択式(活動室・トイレ・送迎車・屋外など) | 環境の手当て |
| 場面 | 選択式(送迎・食事・入浴・活動・移動など) | 場面別のグラフ |
| 何が起きそうだったか | 選択式(転倒・誤嚥・飛び出し・他害・誤薬など)+その他 | 起きやすい事故の種類 |
| 要因 | 複数選択(本人の状態・環境・職員の動き・手順・道具) | 要因別のグラフ |
| その場の対応 | 短い文章 | 対応がそろっているかの確認 |
| 再発防止案 | 短い文章 | 委員会で決める対策のもと |
- 個人名は書かない: 利用者は事業所の中だけで使う番号(例: A01)で書き、職員の名前の欄は作りません。番号と名前の対応表は、見られる人を絞って事業所の中に置きます
- 選択式を多くする: 選ぶだけの欄が多いほど、スマホからでも出しやすく、そのままグラフにできます
- 回答はスプレッドシートに: フォームの回答をGoogleスプレッドシートにつなげると、1件1行の表としてたまっていきます
- 事故は別に記録する: ケガなどの事故になったものは、フォームとは別に、基準省令の事故の記録と、都道府県・市町村への報告を行います
- 出した人に返す: 振り返りで決めたことを、チャットや掲示で全員に返します。「出しても何も変わらない」と感じると、報告は続きません
月1回の振り返りで見る3つのグラフ
- 場面別: どの場面のヒヤリが多いか。多い場面から、手順や人の配置を見直します
- 時間帯別: 1時間ごとの件数。送迎の前後や、職員が入れ替わる時間に集まっていないかを見ます
- 要因別: 本人・環境・職員の動き・手順・道具のどれが多いか。「気をつける」で終わらせず、変えられる環境や手順から手を打ちます
フォームの回答の画面では、選択式の質問が自動でグラフになります。時間帯は、スプレッドシートで時刻から「時」を取り出し、ピボットテーブルで件数を数えてグラフにします。
手引きは、ヒヤリハット事例を活用するポイントを、情報収集→原因解明→対策の策定→周知徹底→再評価の順に示し、対策は虐待防止委員会等で検討するとしています。振り返りを委員会の議題に入れ、決めた対策・担当・期限を議事録に残すと、翌月に効果を確かめられます。
件数が増えた月が、悪くなった月とは限りません。報告しやすくなった結果のこともあるので、件数より中身の変化を見ます。
出典: 手引き p.25(PDF p.29)
運営指導で見られる点
国の確認項目は、事故発生時の対応として、都道府県・市町村・家族等への連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録、損害賠償を確かめます。確認文書には、事故対応マニュアル・事故対応記録・再発防止の検討記録・損害賠償関係書類が挙がっています。
国のマニュアルは、事故防止にはヒヤリハット活動の取組が有効としたうえで、報告の仕組みがあっても職員が報告をためらうなど機能していない場合は、報告した職員が評価されるなど、報告したくなる仕組みづくりを指導するとしています。当日の質問の例には「最近、ヒヤリハットしたことはありますか?」もあります。
フォームの一覧と、月1回の振り返りの議事録があれば、件数・傾向・決めた対策・その後を、そのまま見せて説明できます。放課後等デイサービス・児童発達支援の指導監査は、「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」に基づいて行われます。
出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月)p.29・p.30(PDF p.33・p.34)(https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf)、同 別添「確認項目及び確認文書」生活介護 p.33・就労継続支援B型 p.77・共同生活援助 p.94(PDF p.35・p.79・p.96)(https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf)、「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」(平成26年3月28日障発0328第4号)新旧対照表(令和8年10月1日改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/261002-2.pdf)
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
月1回の振り返りを虐待防止委員会で行う時の議事録・研修記録・体制表(掲示用)を、フォームを埋めて印刷できます。議題の「ヒヤリハット共有」はチェックするだけで議事録に載ります(登録なし)。
無料の道具を開く(登録なし) →
議事録も計画書も、最後は職員が打ちます。その職員が怖がらずに道具を使い始める入口の60分を、研修の第1回「ICTって何? 怖がらずに使える"道具"の話」そのまま・無料で。11月16日(月)10:00〜11:00・Zoom。顔出し・発言は任意、聞くだけでも大丈夫です。参加しても、研修の申し込みは義務ではありません。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。事故報告の様式と報告の基準は、都道府県・市町村によって異なります。所在地の指定権者の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
