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福祉事業所のヒヤリハット報告をデータにする(紙からGoogleフォームへ)

2026-10-23書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
福祉事業所の事故は、基準省令で連絡・記録・損害賠償が決まっています。ヒヤリハットは基準省令の条文には出てきませんが、国の虐待防止の手引きは事故・ヒヤリハット事例を虐待防止委員会で分析することを求め、運営指導のマニュアルは報告の仕組みが機能しているかを見る視点を示しています。紙の報告書は綴じるだけでは数えられないので、Googleフォームで集めて表にし、月1回、場面別・時間帯別・要因別の3つのグラフで振り返ります。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第40条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第52条(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)、厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月。以下「手引き」)p.24〜25(PDF p.28〜29)(https://www.mhlw.go.jp/content/001282170.pdf)

事故・ヒヤリハットの記録と報告の決まり

決まり障害福祉サービスの基準児童の基準(放デイ・児発)
都道府県・市町村・家族等への連絡と、必要な措置第40条第1項第52条第1項(「速やかに」)
事故の状況と、事故に際して採った処置の記録第40条第2項第52条第2項
賠償すべき事故の損害賠償を速やかに行う第40条第3項第52条第3項
事故の記録を、提供した日から5年間保存第75条第2項第54条第2項

第40条と第75条は、生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条、共同生活援助は第213条で準用します。放課後等デイサービスは、児童の基準 第71条で準用します。

ヒヤリハットという言葉は、どちらの基準省令の条文にもありません。国の手引きは、ヒヤリハット事例が見過ごされて放置されると虐待や不適切な支援、事故につながるとし、早い段階で把握・分析して対策を講じる必要がある、としています。

利用者がケガをして受診するなどの事故は、都道府県に事故報告書を出し、支給決定をした市町村にも報告します。様式と報告の基準は、都道府県によって違います。

出典: 障害福祉サービスの基準 第40条・第75条・第93条・第202条・第213条、児童の基準 第52条・第54条・第71条、手引き p.24〜25(PDF p.28〜29)

紙の報告書が「綴じて終わり」になる理由

手引きは、職員のチェックリストについて、組織の課題を確かめて改善策を考えるもので、特定の個人を追及したり批判したりするものではない、としています。ヒヤリハットの報告も、同じ考え方で扱います。

Googleフォームで集める項目

項目入れ方振り返りでの使い道
日時日付と時刻時間帯別のグラフ
場所選択式(活動室・トイレ・送迎車・屋外など)環境の手当て
場面選択式(送迎・食事・入浴・活動・移動など)場面別のグラフ
何が起きそうだったか選択式(転倒・誤嚥・飛び出し・他害・誤薬など)+その他起きやすい事故の種類
要因複数選択(本人の状態・環境・職員の動き・手順・道具)要因別のグラフ
その場の対応短い文章対応がそろっているかの確認
再発防止案短い文章委員会で決める対策のもと

月1回の振り返りで見る3つのグラフ

  1. 場面別: どの場面のヒヤリが多いか。多い場面から、手順や人の配置を見直します
  2. 時間帯別: 1時間ごとの件数。送迎の前後や、職員が入れ替わる時間に集まっていないかを見ます
  3. 要因別: 本人・環境・職員の動き・手順・道具のどれが多いか。「気をつける」で終わらせず、変えられる環境や手順から手を打ちます

フォームの回答の画面では、選択式の質問が自動でグラフになります。時間帯は、スプレッドシートで時刻から「時」を取り出し、ピボットテーブルで件数を数えてグラフにします。

手引きは、ヒヤリハット事例を活用するポイントを、情報収集→原因解明→対策の策定→周知徹底→再評価の順に示し、対策は虐待防止委員会等で検討するとしています。振り返りを委員会の議題に入れ、決めた対策・担当・期限を議事録に残すと、翌月に効果を確かめられます。

件数が増えた月が、悪くなった月とは限りません。報告しやすくなった結果のこともあるので、件数より中身の変化を見ます。

出典: 手引き p.25(PDF p.29)

運営指導で見られる点

国の確認項目は、事故発生時の対応として、都道府県・市町村・家族等への連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録、損害賠償を確かめます。確認文書には、事故対応マニュアル・事故対応記録・再発防止の検討記録・損害賠償関係書類が挙がっています。

国のマニュアルは、事故防止にはヒヤリハット活動の取組が有効としたうえで、報告の仕組みがあっても職員が報告をためらうなど機能していない場合は、報告した職員が評価されるなど、報告したくなる仕組みづくりを指導するとしています。当日の質問の例には「最近、ヒヤリハットしたことはありますか?」もあります。

フォームの一覧と、月1回の振り返りの議事録があれば、件数・傾向・決めた対策・その後を、そのまま見せて説明できます。放課後等デイサービス・児童発達支援の指導監査は、「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」に基づいて行われます。

出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月)p.29・p.30(PDF p.33・p.34)(https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf)、同 別添「確認項目及び確認文書」生活介護 p.33・就労継続支援B型 p.77・共同生活援助 p.94(PDF p.35・p.79・p.96)(https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf)、「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」(平成26年3月28日障発0328第4号)新旧対照表(令和8年10月1日改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/261002-2.pdf)
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茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。事故報告の様式と報告の基準は、都道府県・市町村によって異なります。所在地の指定権者の案内を確認してください。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。