就労移行支援の運営指導で見られる書類 — 国の「確認項目及び確認文書」22項目・88点と、就職・定着で聞かれること
指定の有効期間に少なくとも1回、22項目・88点
マニュアルによると、就労移行支援の運営指導は、指定の有効期間のうちに少なくとも1回。新しく指定を受けた事業所は指定から3年以内に行われます(マニュアル p.18)。見られるのは別添の就労移行支援の表(p.59〜64)にある22項目で、書類はのべ88点。1つの項目で書類が多いのは、苦情解決(9点)、就労移行支援計画の作成等(7点)、非常災害対策(7点)、従業者の員数(6点)、勤務体制の確保等(6点)です。
出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月)p.18/別添「確認項目及び確認文書」就労移行支援 p.59〜64 [別添のPDF(厚生労働省)]
22項目を、そろえ方で4つに分ける
| 分け方 | 項目 | そろえる書類の例 |
|---|---|---|
| ① 毎日の記録 | 心身の状況等の把握、サービスの提供の記録、就労移行支援計画の作成等、緊急時等の対応 | アセスメント記録、ケース記録、サービス提供記録(利用者の確認つき)、計画・モニタリング・面接・会議の記録、緊急時対応マニュアル |
| ② 契約とお金 | 内容及び手続の説明及び同意、受給資格の確認、利用者負担額等の受領、定員の遵守 | 重要事項説明書、利用契約書、説明・交付の記録、受給者証の写し、請求書・領収書、費用内訳(食費・日用品費等)、利用者名簿 |
| ③ 人と勤務 | 従業者の員数、管理者、勤務体制の確保等、秘密保持等 | 勤務実績表、出勤簿、資格証、勤務体制一覧表、平均利用人数が分かる書類、雇用形態が分かる書類、研修計画・実施記録、ハラスメント防止の書類、秘密保持誓約書 |
| ④ 委員会・指針・訓練 | 身体拘束等の禁止、虐待の防止、衛生管理等、業務継続計画、非常災害対策、事故発生時の対応、苦情解決 | 指針・マニュアル、委員会議事録、研修・訓練の記録、避難訓練の記録、消防署への届出、事故・ヒヤリハットと再発防止の記録、苦情受付簿と対応記録 |
残る3項目(設備、運営規程、情報の提供等)は、平面図・設備一覧、運営規程と掲示物・従業者への周知の記録、パンフレット・ホームページです。設備は確認ポイントが8個あり、訓練・作業室の広さと機械器具、相談室の間仕切り、洗面所・便所が利用者の特性に応じているか、設備が事業所の専用か(共用なら支援に支障がないか)まで、目視で見られます(p.59)。
出典: 同別添 p.59〜64 の項目と確認文書を、本記事で分類したもの
就労移行支援計画は、7点の書類と11の確認ポイント
「就労移行支援計画の作成等」(p.60)の書類は7点です。
- 就労移行支援計画
- アセスメント記録
- モニタリング記録
- 面接記録
- 会議記録
- 説明・同意・交付記録
- 計画変更記録等
確認ポイントは11個で、表の中でいちばん多い項目です。流れで書くと、サービス管理責任者がアセスメント(面接で・趣旨を説明して)→ 原案 → 計画作成会議(利用者の意向を確認)→ 利用者・家族へ説明して文書で同意 → 利用者と相談支援事業者へ交付 → モニタリング(家族等と継続的に連絡・定期的に面接・記録)→ 少なくとも6か月に1回以上の見直し → 変更時は作成時と同じ手続き。意思決定に困難を抱える利用者について、意思と選好・判断能力を把握して支援しているか、という項目もあります。
就労移行は、利用の途中で目標(職種・就職先・時期)が変わりやすいサービスです。変更したのに計画変更の手続き(会議・説明・同意・交付)が抜けるのが起きやすいところ。利用者3名ぶんを直近1年で通しで並べて、日付の順番と、変更のたびに同じ手続きが残っているかを確かめてください。
出典: 同別添 p.60
人員は「6:1」と「15:1」の2本立て
「従業者の員数」(p.61)の書類は6点(勤務実績表、出勤簿、資格証、勤務体制一覧表、平均利用人数が分かる書類、支援に支障がないことが分かる書類)。確認ポイントは次の6個です。
- 職業指導員と生活支援員の総数が、常勤換算で利用者数の6分の1以上か
- 職業指導員と生活支援員を、それぞれ1人以上配置しているか
- 就労支援員を、常勤換算で利用者数の15分の1以上配置しているか
- サービス管理責任者を、利用者数に応じて基準どおり配置しているか
- 職業指導員または生活支援員のうち1人以上と、サービス管理責任者が常勤か
- 専従・兼務の状況と、利用者数(平均利用人数)の算定が適切か
「勤務実績表」「勤務体制一覧表」「平均利用人数が分かる書類」の3つで計算し直されます。前年度の平均利用人数が増えていれば、必要な人数も増えます。就労支援員が他の職種を兼務している月は、常勤換算のどちらに数えたかを説明できるようにしておいてください。
出典: 同別添 p.61
委員会・指針・研修の3点セット
次の項目は「指針やマニュアル」「委員会の議事録」「研修や訓練の記録」の組み合わせで見られます。
- 身体拘束等の禁止(p.60): 個別支援計画、身体拘束等に関する記録、適正化のための委員会議事録、適正化のための指針、研修の記録
- 虐待の防止(p.64): 委員会議事録、研修の記録、担当者を配置していることが分かる書類
- 衛生管理等(p.63): 衛生管理に関する書類、委員会議事録、感染症・食中毒の予防とまん延防止のための指針、研修・訓練の記録
- 業務継続計画の策定等(p.62): 業務継続計画(BCP)、周知記録(配布・説明)、研修・訓練記録、見直し記録
- 非常災害対策(p.63): 対応マニュアル、運営規程、通報・連絡体制、消防用設備点検の記録、避難訓練の記録、消防署への届出、地域住民が訓練に参加していることが分かる書類
「指針は作ったが委員会を開いていない」「研修はしたが記録がない」が、この並びで一度に見つかります。
出典: 同別添 p.60〜64
利用者負担は「何を」「いくら」「同意は」の3つ
「利用者負担額等の受領」(p.61)は、書類4点(請求書、領収書、重要事項説明書・同意書等、費用内訳が分かる書類)に対して確認ポイントが6個あります。利用者負担額を受領しているか、法定代理受領をしない場合に費用基準額の全額を受領しているか、実費として徴収できるのは食事の提供に要する費用・日用品費など日常生活で通常必要になるものに限られるか、食費は厚生労働大臣の定める基準に従っているか、支払いのたびに領収証を交付しているか、実費負担はあらかじめ内容と費用を説明して同意を得ているか。
「同意書はあるが、いつの時点の金額か分からない」「値上げしたのに同意を取り直していない」が典型です。金額が変わった日と、同意を取り直した日を並べてください。
出典: 同別添 p.61
就職と定着の記録は、この一覧の外で聞かれる
就労移行の表には、就職や定着に関する項目は入っていません。マニュアルには、確認項目は「最低限のチェックポイント」で、加算の請求については、それぞれの加算の要件を示す書類が別に求められると書かれています(マニュアル p.22)。就労移行支援の基本報酬は就労定着者の割合で区分が決まるため、実際の運営指導では、就職先と就職日、就職後の定着支援の記録、利用期間(標準利用期間と延長)の管理の書類を、報酬の確認として求められると考えて準備してください。
出典: マニュアル p.22
点検の順番(この記事の使い方)
- ①毎日の記録を、利用者3名ぶん・直近1年で通しで並べる(運営指導で見られる利用者の記録は原則3名以内です)。就労移行支援計画の7点は、変更のたびに同じ手続きが残っているかまで
- ③人と勤務で、勤務実績表・勤務体制一覧表・平均利用人数から、6:1 と 15:1 と常勤要件を自分で計算し直す
- ②契約とお金で、重要事項説明書・契約書・受給者証・領収書・費用内訳が、同じ利用者で1セットそろうか。実費の同意は金額が変わった日ごとに
- ④委員会・指針・訓練を「指針/議事録/研修記録」の3列で埋める
- 就職・定着・利用期間の書類を、報酬の確認用に別に用意する
- 見つかった不備は「今日わかった」と正直に記録して、今日から直す。さかのぼって作らない
この順番と4つの分け方はHappiterの提案です。届いた通知と指定権者の案内が優先します。
運営指導の自己点検チェックリスト。就労B型版は就労移行と項目がほぼ同じ(22項目・88点。違いは計画の名前と人員基準)なので、そのまま代わりに使えます。要改善だけToDoにできます(出典つき)。
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「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」。この記事の22項目・88点を、印刷して使える表にしたものです。
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
