Happiter
Happiter › 制度の解説 › 虐待防止委員会の議事録と研修の記録

虐待防止委員会の議事録と研修の記録 — 年1回以上の開催、委員会の3つの役割、運営指導で見られる3点と「残す項目」を国の手引きで整理

2026-10-12書いた人: 茂呂史生(Happiter株式会社)
障害福祉サービスと障害児通所支援の事業所は、虐待の防止のために①委員会を定期的に開いて結果を従業者に周知する ②従業者に研修を定期的に行う ③この2つを進める担当者を置く、の3つが基準省令で義務になっています。報酬の減算の要件では、「定期的」は委員会・研修とも1年に1回以上です。運営指導で見られる書類は、国の「確認項目及び確認文書」で委員会議事録・研修を実施したことが分かる書類・担当者を配置していることが分かる書類の3点です。研修は実施内容を記録し、新規採用の時には必ず行うことが重要とされています。どれかが欠けると、利用者全員の基本報酬から所定単位数の1%が減算されます。議事録と研修記録に何を書いておくと説明しやすいかを、国の手引き(令和6年7月)と自治体の資料で整理します。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第40条の2(各サービスで準用。e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第45条第2項(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)、厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」別添「確認項目及び確認文書」(令和8年6月8日)居宅介護 p.4(PDF p.6)ほか各サービスの表(https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf)

3つの措置と、運営指導で見られる書類

措置見られる書類頻度
委員会を開き、結果を従業者に周知委員会議事録年1回以上
従業者への研修研修を実施したことが分かる書類年1回以上
上の2つを進める担当者担当者を配置していることが分かる書類常に

研修は、年1回以上に加えて、新規採用の時にも必ず行うことが重要とされています(解釈通知)。委員会はテレビ電話装置等を使って開くこともできます(障害のある人が参加する場合は、障害の特性に応じた配慮をします)。事業所単位でなく法人単位で置くことも、身体拘束適正化検討委員会と一体で開くこともできます。運営規程には「虐待の防止のための措置に関する事項」を定めます。

出典: 厚生労働省「実施上の留意事項について」新旧対照表(令和8年度改定)p.38〜40(https://www.mhlw.go.jp/content/001705650.pdf)、厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月。以下「手引き」)p.14(PDF p.18)(https://www.mhlw.go.jp/content/001282170.pdf)、岡山市「虐待防止に係る取組みの義務化」p.1〜3(解釈通知の抜粋 https://www.city.okayama.jp/cmsfiles/contents/0000035/35572/202209gya.pdf)

委員会の3つの役割と、メンバー

国の手引きと解釈通知は、委員会の役割を3つに分けています。

  1. 虐待防止のための計画づくり: 研修の計画、虐待が起こりやすい職場環境の確認と改善、ストレスの高い労働条件の見直し、マニュアルやチェックリストの作成
  2. チェックとモニタリング: 職員のチェックリストによる自己点検を担当者が集計して報告。あわせて、事故(不適切な対応を含む)、苦情や相談の内容、職員のストレスの状況も報告します
  3. 発生後の検証と再発防止: 虐待やその疑いが生じた場合に、事案を検証して再発防止策を決め、実行します

開催に必要な人数は、管理者と虐待防止担当者(必置)が参加していれば最低人数は問わない、とされています。担当者には、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者等を置きます。メンバーに利用者や家族、専門的な知見のある外部の第三者を加えることが望ましいとされ、手引きは、苦情解決の第三者委員などの外部委員を入れて形だけにならないようにする、と書いています。解釈通知は、報告や分析の目的は情報を共有して未然防止・再発防止につなげることで、従業者の懲罰ではない、と念を押しています。

出典: 手引き p.16〜18(PDF p.20〜22)、岡山市の上記資料 p.1(全サービス向けの案内)・p.2〜3(児童福祉法の基準の解釈通知(35)の抜粋)

議事録に残す項目(例)

手引きが示す委員会の流れに沿って、議事録の欄をそろえておくと、運営指導の場で「何を話し、何を決め、どう伝えたか」を説明しやすくなります。次は私たちの例です。

  1. 開いた日・方法・出席者: 対面かオンラインか。管理者と虐待防止担当者の出席が分かるように
  2. 報告されたこと: チェックリストの集計、事故・ヒヤリハット、不適切な対応の事例、苦情・相談、職員の労働環境やストレスの状況
  3. 分析と決めたこと: 原因と対策。手引きは、対策を「経営者と一体で取り組むもの」「委員会・部署で取り組むもの」「職員個人で取り組めるもの」の3つに分けて検討するとしています。担当と期限も書く
  4. 研修の計画: 年間の研修計画の作成と見直し(手引きは、委員会で定期的に行うとしています)
  5. 前回の対策の効果: 再発防止策を講じたあと、その効果を確かめたか
  6. 周知: 結果を従業者に、いつ・どの方法で伝えたか(回覧の確認欄、職員会議での説明など)
  7. 身体拘束等の適正化: 一体で開いた場合は、その議題も同じ議事録に
出典: 手引き p.18(PDF p.22)・p.22(PDF p.26)・p.25(PDF p.29)、岡山市の上記資料 p.2〜3

研修の記録に残す項目(例)

解釈通知は、委員会が作った研修プログラムで定期的な研修(年1回以上)を行い、新規採用の時には必ず研修を行うことが重要で、研修の実施内容を記録することが必要としています。施設の中で行う研修のほか、協議会や基幹相談支援センター等が行う研修に参加した場合でも差し支えありません。記録には、次の欄を用意しておくと漏れにくくなります(私たちの例)。

手引きは、支援の職員だけでなく、給食調理・事務・運転・宿直管理などの職員にも研修を行うことが望まれ、特に新任職員やパートの従業者には基本の研修が必要としています。研修の報告や伝達がどう行われたかを委員会で確かめることも挙げています。

出典: 岡山市の上記資料 p.1・p.3、手引き p.17(PDF p.21)・p.22(PDF p.26)

指摘されやすい例(東京都の集団指導資料)

東京都の集団指導資料は、実地検査で見られる例として次を挙げています。

そのうえで、委員会の開催と従業者への周知、全従業者を対象にした研修、担当者(虐待防止責任者)の設置、虐待防止マニュアル(虐待の5類型と従業者の通報義務を含む)、全従業者を対象にしたチェックリスト、啓発物や相談・通報先の掲示を整えるよう求めています。

出典: 東京都福祉局「令和6年度 指定障害福祉サービス事業者集団指導資料(運営管理・利用者支援)」p.17(PDF p.18)(https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r6syudan-syogai-a3-pdf)

欠けた時の減算

委員会を年1回以上開いていない、研修を年1回以上していない、担当者を置いていない、のどれかに当たると、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月まで、利用者全員について所定単位数の100分の1が減算されます。事業所は速やかに改善計画を出し、事実が生じた月から3か月後に改善の状況を報告します。ほかの3つの減算とあわせた比較は、未実施減算4種の記事にまとめています。

出典: 実施上の留意事項について 新旧対照表(前掲)p.38〜40

記録の手間を減らす工夫

手引きは、小規模な事業所の工夫として、既存の会議(定期的な事業所の会議やケースカンファレンスなど)にあわせて委員会を開く、法人単位で置く、オンラインで開いて外部の人が参加しやすくする、行政や基幹相談支援センター等の研修を活用する、といった例を挙げています。議事録と研修記録は、毎回同じ欄の書式にそろえておくと、担当者が替わっても同じ形で残せます。下書きを早く作る道具を使う場合は、利用者の氏名など個人が特定できる情報を入れない決まりを先に作っておきます。

出典: 手引き p.17(PDF p.21)
この記事は国と自治体の公表資料を読んで整理したものです。減算の適用や、委員会・研修の頻度と記録の扱いの判断は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市など)が行います。所在地の指定権者の集団指導資料・通知で確認してください。
相談したい方へ
委員会の議事録などの会議録・支援記録・個別支援計画の下書きに生成AIを使う、4回・11時間のオンライン実務講座を行っています(1名50,000円・税別)。時間割・助成の扱いは、研修のページにまとめています。
くわしく見る →
茂呂史生
茂呂史生 Happiter株式会社 代表。2005年から訪問介護・放課後等デイサービス・グループホーム・就労支援を自分の手で立ち上げ、4社を経営。著書『世界を変える子どもたち』。

この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。