福祉事業所のICT研修は何から始めるか(全20回の順番)
福祉事業所のICT研修は、生成AIから始めるより、アカウント・メール・共有フォルダ・記録のデジタル化を先に整え、AIは後半に置くほうが止まりにくくなります。AIに渡す材料(記録)と、置き場(クラウド)と、入れてよい情報の決まりがないうちは、使えるのが一部の職員に限られるからです。Happiterの伴走研修では、全20回のうち第1〜11回でICTの土台とチームの仕組みを作り、AIを扱うのは第12回からです。その順番と、回ごとに現場で変わること、パソコンが苦手な職員への配慮をまとめます。
AIから始めると止まる理由
- ログインで止まる: AIのサービスもアカウントで使います。アカウントとパスワードの管理に慣れていない職員は、最初の画面で止まります
- 材料がない: AIが下書きを作るには、元になる記録が要ります。記録が紙や個人のノートにあると、使うたびに書き写すことになり、時間が減りません
- 置き場がない: 下書きや記録が個人のパソコンやスマホに散らばると、どれが最新版か、誰が持っているかがわからなくなります
- 決まりがない: 何を入れてよいか、誰が確かめるかが決まっていないと、慎重な職員ほど使わず、使う人だけが使う状態になります
4つとも、AIの使い方ではなく、その手前の道具と決まりの問題です。だから順番は、ICTに慣れる→チームで回す→支援にICT・AIを使う→定着させる、になります。
全20回を4つのまとまりで見る
全20回(各60分)を、この記事では4つのまとまりに分けて読みます。回ごとのタイトルは、研修で使っているものをそのまま載せています。
| まとまり | 主に使う道具 | 回 |
|---|---|---|
| ① ICTの土台 | Googleアカウント・Gmail・Googleカレンダー・スマホ | 第1〜6回 |
| ② チームで回す | Chatwork・Googleドライブ | 第7〜11回 |
| ③ 支援にICT・AIを使う | AI・NotebookLM | 第12〜15回 |
| ④ 定着と標準化 | Genspark・NotebookLM | 第16〜20回 |
回ごとに、現場で変わること
① ICTの土台(第1〜6回)
- 第1回 ICTって何? 怖がらずに使える"道具"の話: 「壊したらどうしよう」という不安を言葉にでき、触る前の構えが下がります
- 第2回 Googleアカウントの作り方を"見るだけ"講座: 画面の流れを先に一度見ておくので、次の回で手が止まりにくくなります
- 第3回 Googleアカウントを一緒に作ってみよう: 職員一人ひとりが自分のアカウントを持ち、ログインできる状態になります
- 第4回 Gmailを使って"自分から誰かにメールを送る"奇跡体験: 受け取るだけだったメールを、自分から送れるようになります
- 第5回 Googleカレンダー講習会 未来の自分を助ける道具を手に入れよう: 会議・研修・提出の期限を、共有の予定表に入れられます
- 第6回 スマホでできること、思ってたより多すぎた件: パソコンの前に座らなくても、手元のスマホで予定やメールを確かめられます
② チームで回す(第7〜11回)
- 第7回 報連相とタスク管理を"見える化"する 〜ChatworkとGoogleで回るチーム支援〜: 口頭や個人の電話で流れていた連絡が、あとから読み返せる形で残ります
- 第8回 共有フォルダを使って"ファイル迷子"をなくす方法 ~Googleドライブ×現場のチーム運用のはじめ方~: 書式や資料の置き場が1か所に決まり、「最新版はどれ?」が減ります
- 第9回 写真・記録をクラウドに保存してみよう(Googleドライブ編): 個人のスマホに残っていた写真や記録が、事業所の決めた場所に集まります
- 第10回 ICTでヒヤリハットを記録・振り返り 〜小さな"ヒヤリ"を、命を守る"データ"へ〜: ヒヤリハットが一覧になり、時間帯や場面ごとの傾向を会議で見られます
- 第11回 デジタル書類化による業務効率と情報共有革新: 紙で回していた書類のうち、どれからデジタルにするかを事業所で決められます
③ 支援にICT・AIを使う(第12〜15回)
- 第12回 発達支援のためのICTとAI活用入門: ここで初めてAIを扱います。記録と置き場がそろっているので、支援の場面での使い道から考えられます
- 第13回 視覚支援のデジタル化 〜スケジュール・タイマー・ピクトグラムを支援として使う〜: 手作りしていたスケジュールやカード、タイマーを、デジタルで作って職員どうしで共有できます
- 第14回 ICT・AIで考える支援をアシストする: 支援の手立てを考える時に、AIを相談相手にして案を広げられます
- 第15回 NotebookLMって何? 記録が"つながる"世界へ: 手元の資料をもとに、質問して探す使い方を知ります
④ 定着と標準化(第16〜20回)
- 第16回 属人性を強みに変える設計: 「あの人しかできない」支援のコツを、書き出して共有できる形にします
- 第17回 ICT導入あるあるを乗り越える 〜反発・拒否・放置対策〜: 使わない職員が出た時の手当てを、前もって決めておけます
- 第18回 支援の標準化と再現性 〜質を安定させる仕組み〜: 担当が替わっても、同じ手順と記録の形で支援を続けられます
- 第19回 GensparkとNotebookLMによる個別支援計画作成: 記録から個別支援計画の下書きを作り、人が確かめて仕上げる流れを試します
- 第20回 最終回 未来の支援モデル 〜AIと共に進化する現場〜: 20回で整えた道具と決まりを、次の1年の事業所の計画に落とします
標準化は、全員に同じ支援をすることではありません。基準省令も、支援が「漫然かつ画一的なものとならないよう配慮」することを求めています。そろえるのは、手順と記録の形です。
出典: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「障害福祉サービスの基準」)第57条第1項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「児童の基準」)第26条第1項(https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015)
パソコンが苦手な職員への配慮(見るだけの回を作る)
- 見るだけの回を作る: 第2回は、アカウントの作り方を見るだけの回です。手を動かすのは次の第3回で、流れを一度見てからなので不安が小さくなります
- 1回に覚える道具は1つ: メール(第4回)、カレンダー(第5回)のように、60分を1つの道具に絞ります
- スマホから入る: 毎日触っているスマホのほうが入りやすい職員もいます(第6回)
- 2人1組で進める: 慣れた職員と組み、同じ画面を見ながら進めます。わからない所を、その場で隣に聞けます
- 紙との併用期間を決める: いきなり紙をやめず、併用する期間と終わりの日を先に決めます
- 反発が出る前提で決めておく: 反発・拒否・放置は起きるものとして、手当てを決めておきます(第17回)
慣れた職員の速さに合わせると、苦手な職員ほど早い回でつまずき、置いていかれます。いちばんゆっくりな人に合わせた回を最初に置くと、20回を全員で終えやすくなります。
記録をデジタルにする時に、先に確かめる決まり
- 作成・保存: 基準省令で書面で行うとされている書類の作成・保存などは、一部を除き、電磁的記録で行えます(障害福祉サービスの基準 第224条第1項、児童の基準 第83条第1項)
- 交付・説明・同意: 相手方の承諾を得て、障害の特性に応じた配慮をしながら、電磁的方法で行えます(第224条第2項、第83条第2項)
- 個別支援計画の会議: 計画を作る会議は、テレビ電話装置等を使って行えます(第58条第6項、児童の基準 第27条第5項)
- 事故の記録: 事故の状況と、事故に際して採った処置は記録します(第40条第2項、児童の基準 第52条第2項)。ヒヤリハットも同じ場所に残すと、振り返りで並べて見られます
- 秘密保持: 従業者は、業務上知り得た利用者や家族の秘密を漏らしてはならず、事業者は辞めた人も含めて必要な措置を講じます(第36条、児童の基準 第47条)。共有フォルダは、見られる人の範囲を決めてから使います
AIを使う第12回以降は、個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)も前提になります。事業者が個人情報を含む入力をする時は、利用目的の範囲内かを十分に確かめ、入力した個人データが機械学習に使われないこと等を確かめるよう求めています。
出典: 障害福祉サービスの基準 第36条・第40条・第58条・第224条(生活介護などは第93条などで準用)、児童の基準 第27条・第47条・第52条・第83条(放課後等デイサービスは第71条で準用)、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)
資料2点を、メールで受け取る(無料)
「通知が来てから当日までの段取り表」と「確認される書類の一覧(7サービス)」を、メールアドレスだけで受け取れます(数分以内にURLをお届けします)。
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Happiter株式会社(代表 茂呂史生)からメールで届きます。制度改定と道具の新着のお知らせ(月2回まで)も届きます。止めたい時は、届いたメールに返信するだけです。
入力はメールアドレスだけ。このメール欄からお電話をすることはありません。名簿の管理とメールの送信には Google と Make の仕組みを使い、それ以外の第三者には渡しません。個人情報の取り扱い
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研修の順番を決める前に、記録・申し送り・請求・ヒヤリハット・AIの使い方など10問で、事業所のデジタル度とムダ時間の目安がわかります(登録なし・60秒)。
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この記事の答え、結局は職員が打つことになりませんか。
議事録も計画書も、最後は職員が打ちます。その職員が怖がらずに道具を使い始める入口の60分を、研修の第1回「ICTって何? 怖がらずに使える"道具"の話」そのまま・無料で。11月16日(月)10:00〜11:00・Zoom。顔出し・発言は任意、聞くだけでも大丈夫です。参加しても、研修の申し込みは義務ではありません。
11/16(月)の無料体験会に申し込む →
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この記事は、国の公表資料をもとにHappiter株式会社が要約したものです。制度の適用は自治体・指定権者の判断が優先します。誤りを見つけた方は お問い合わせ からお知らせください。
